監督がスティーブン・スピルバーグ、主演がメリル・ストリーブ、トム・ハンクスと揃えば面白さを保証されたもの、にも拘わらずこの映画、初見。ひとこと感想、いやー、面白かった。
ベトナム戦争の調査レポート「ペンタゴン・ペーパーズ」をマクナマラ司法長官に握りつぶされた軍事アナリストがレポートをニューヨークタイムスに持ち込み、発表したニューヨーク・タイムズに司法の手が伸びる。ニューヨーク・タイムズに遅れをとったワシントン・ポストの編集長(トム・ハンクス)はアナリストから同じレポートを入手し、訴追覚悟で大々的に暴露した。メリル・ストリーブはワシントン・ポストの社主の役。親から引き継いだ会社をつぶすかどうかの瀬戸際に立たされるも、編集長支持の結論を出す。
日本の司法制度との違いをまざまざと感じるのが、記事掲載日に司法省より編集長への記事差し止めの電話、翌々日には最高裁判所による公聴会と決定とアクションが早い。しかも、レポートを最高機密文書として隠そうとする政府に対し、報道の自由を理由に記事の掲載を最高裁が適法と裁定するなど、ちょっと格好良すぎのウソ臭さもあるが、経緯はおおむね事実にのっとっているだろうから、映画の説得力もある。まあ、この映画が70年代か80年代なら大いに評価されるだろうが、当事者たちのほとんどが死んだり、引退している17年の公開じゃあ、ただのサクセス・ストーリーかな。
ワシントン・ポストは13年にAmazon創始者のジェフ・ベゾスに売却され、”スローガンを「Democracy Dies in Darkness(暗闇の中では民主主義は死んでしまう)」とすることを発表”(wiki)したりしているから、案外この映画、ワシントン・ポストのキャンペーン映画かなと。まあ、面白かったから文句はないけれど、時期的にはちょっと後味が・・。
「ブレイン・ゲーム」(15年 米)原題 Solace

この映画、アンソニー・ホプキンスを雇うFBI捜査官の役で準主役ジェフリー・ディーン・モーガンが末期がんの捜査員という難しい役で出ていていい味をだしているのだが、一年ほど前まで夢中になってみていた「ウォーキング・デッド」(10年~ 米テレビドラマ)では、極悪の親玉の役だったから、その役柄の落差に頭が混乱。ポスターではホプキンスと並んで、コリン・ファレルが出張っているが、連続殺人犯という重要な役柄ながら、後半にちょろっと、いつものトボケ顔。彼はミスキャストだと思うよ。
原題のSolaceは「癒し」の意。ここで明かさなくても、映画を見れば納得。
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