2024年6月30日日曜日

ロバの耳通信「復活」「アメリカン・バーニング」

「復活」(16年 米)原題:Risen

キリストを処刑した側のローマ軍の100人隊長(ジョゼフ・ファインズ)が見たイエス・キリスト(クリフ・カーティス)の復活。自分が磔にしたイエスの死体が消え、イエスと語り、イエスが起こした奇跡を目撃し変わってゆく。この手の映画は結構見てきたが、視点が変わっただけ。作品としても特記するところもないが、キャスティングは良かった。うん、ジョゼフ・ファインズとクリフ・カーティスのキャスティングは逆のほうがもっと良かったかも。考え込むところなど、ジョゼフ・ファインズのほうがずっとイエスらしい。

コレより少し前に見た「サン・オブ・ゴッド」(15年 米)では、静かに語るキリストから映画を見てる間、そのあとにもキリストの優しさが伝わってきて安らかな気持ちになれたが、視点を変えたこの「復活」ではキリストについての<何か、得心できるもの>が伝わってくることがなかったのが残念。特に、レプラに苦しむ男を奇跡で治すところなど、そこまでやらなくてもと。目の当たりに見せられる奇跡なんか、白々しくなってしまう。深淵なことをアカラサマにしたとたん怪しげに映る。信仰を題材にした映画のつもりで見ていたらそうではなかったようだ。

「アメリカン・バーニング」(16年 米・香港)原題:American Pastoral

高校ラグビーの元スター選手(ユアン・マクレガー )と高校のマドンナでミス・アメリカ
の州代表(ジェニファー・コネリー )のアメリカン・ドリームを絵にかいたようなカップル。カトリックとユダヤの宗教の壁を乗り越え結婚したが娘(ダコタ・ファニング)が成長するにつれて夫婦がうまくゆかなくなる。まずは娘の吃音、反戦運動、カルト宗教に凝るなど夫婦の頭痛のタネは尽きない。

出口の見えない暗い映画。これでもか、これでもかと不幸の連続。不幸の大きさは違っても、ジンセイこんなことの繰り返しかもしれないが、映画でこれをやられると救いがないではないか。それにしても三役のキャスティングが素晴らしい。映画化決定から撮影開始まで長い時間を要し、キャスティングも相当もめたというが、映画を見たらほかの組み合わせが考えられないの出来。ただ、辛くて2度は見たくない映画。

ユアン・マクレガーの初監督映画。おいおい、初なのになんでこんな暗い作品を選んだんだと。

原題のPastoralは田園詩の意味、田舎とでも訳したほうがいいのだろう、つまりはアメリカの田舎で起きた出来事ーみたいな意味か。原作はフィリップ・ロスの同名の原作だが、wikiによれば映画は原作とかなり違うらしい。

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