「エンジェル」 (02年 石田衣良 集英社文庫)

殺された若き投資家がオバケになって現世に戻り、自分を殺した犯人を捜す。斬新な発想だが、オバケになって恋したりとかいうウソ話にはどうしてもついて行けない。オバケになってまでストーカーするなんて気持ちはよくわかるし、そういうのも究極の愛のカタチとしてアリかなとも思ったりする。ただ、オバケに足がない理由とか、出てくるのにスゴイエネルギーがいるとかのコジツケ話が散りばめられると、とたん荒唐無稽さにコケそうになった。
石田衣良の作品の女性への思い入れはスゴイ。
「池袋ウェストゲートパーク」のリカへの想いと
「エンジェル」の文緒への想いは同じ。男って純粋というか、まあ単純だな。
「逸脱 捜査一課・澤村慶司」 (12年 堂場瞬一 角川文庫)

堂場瞬一の刑事モノは色々読んできて、面白い筈と読み始めたがなかなか進まない。そうか、今まで読んできた
「刑事・鳴沢了」シリーズ、
「警視庁失踪課・高城賢吾」シリーズと違い、私にとっては初めての澤村慶司の人物理解に時間を食い過ぎて先に進めないのじゃないかと。この導入部を読むことに手抜きしてはいかんと、集中しだしたら、一気に面白さが増し出した。
連続殺人事件の犯人を追いかけていったら、
”意外な人物であった”と、裏表紙の解説にあった。コレ、違反じゃないかな、犯人を示唆するヒントを解説に書くなんて。案の定、犯人は元刑事だったのだが、途中で犯人が分かってしまったじゃないか。
連続殺人とか、プロファイリングとか、相棒の若い女刑事とか、ジェームス・エルロイやロバート・パーカーなどの海外ミステリーを彷彿させる展開は堂場にとっては新機軸なのだろうが、この分野の小説を長く読んできたから、新鮮味はないね。ただ、
「逸脱 捜査一課・澤村慶司」は、いままで読んできた海外ミステリーと遜色ない面白さだったから、文句はないけど。
0 件のコメント:
コメントを投稿