2024年10月20日日曜日

ロバの耳通信「ひかりをすくう」「レイクサイド」「少年と少女のポルカ」

「ひかりをすくう」(09年 橋本紡 光文社文庫)


パニック障害のイラストレーターが仕事を辞め、哲ちゃんと一緒に住んでた都心のアパートから郊外に脱出。貯金でつなぎながら、近所の女子高生の英語の家庭教師をやったり、子猫を買い始めたり、哲ちゃんの前の奥さんと闘ったりで新しい暮らしになじんでゆく。
持病アリ、収入ナシの不安があったら、自分ならとてもこうは行かないだろうと思うけれども、まあ、こういう暮らしにあこがれる。なにより二人が「仲良し」なのがいい。
ワタシもカミさんも、その気になって一歩を踏み出せば、この物語ほどうまくはゆかないにしても、背負うものの少ない、もっと気楽な暮らしができる筈なのだが。



「レイクサイド」(06年 東野圭吾 文春文庫)

長く東野圭吾を読んできたけれど、こういう感覚は初めてかな。「ハズレ」。東野先生でも面白くない作品があるなだ、と。
有名私立中学受験のための合宿に集まった4組の家族。”妻は言った。「あたしが殺したのよ」”で始まる、湖畔の別荘地で起きた殺人事件。で「レイクサイド」、題名の付け方から安易~。
タネ明かしまで読めば、ああ、そういうことだったのかと思いがけない展開にオドロキはあったから謎解きミステリー小説としては良くできているのだろうが、ええっ、そんなのあるわけないだろうと失笑してしまうスジ。期待して読み始めたのに、つまらない小説、しかも面白いことでは裏切られたことのない文春文庫に、ただでさえ少ない残された時間を使ってしまったことに後悔。

「少年と少女のポルカ」( 00年 藤野千夜 講談社文庫)

裏表紙の芥川賞作家、海燕新人賞のツリに欺かれた感。単に私の嗜好に合わなかっただけなのだろう。
表題作は、いまはフツーになったLGBTの高校生の恋愛話。
海燕新人賞になった方は予備校生と同級生の物語に若い感性を期待して読み始めたのだが。突き出した元気さも感じ取れない、臆病な文章にすぐに飽きた。
漫画の原作みたいだなと思っていたら、著者は漫画雑誌の編集者だったと。デビューが早すぎたのかな。

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