2024年7月20日土曜日

ロバの耳通信「軽蔑」「空母いぶき」

「軽蔑」(11年 邦画)

高良健吾と鈴木杏がチンピラとトップレスバーの踊り子、映画のキャッチコピーは「世界は二人を、愛さなかった。」とあるが、私的には「死ぬまで愛した」がいいかな。高良健吾は映画やテレビで良く知っていたが、鈴木杏の顔と名前が初めて一致し、メッチャ好きになったのがこの映画。
ストリッパーの役なのに踊りはヘタだし、ずん胴のペチャパイはなのだが表情がいい。厚化粧も起き抜けのスッピンのどっちもいい。戸惑い顔も泣き顔もいい。カラミのシーンが多すぎだが、時間に追われるようなカケオチなんてこんなものだろうと密かに憧れたりして。

チンピラと踊り子の逃避行、女の腕の中で男が息絶えるラストなんて、使い古されたストーリー(原作は中上健次 99年集英社文庫ほか)なのだが、二人とも役にピッタリ。べた褒めの映画評ほど、緑魔子とか根岸季衣とかほかの配役が良かったとも思わなかったけれど、鈴木杏は良かった。

「空母いぶき」(19年 邦画)
 
原作は同名の漫画(14年~ かわぐちかいじ ビッグコミック)。東亜連邦の侵略を受けた初島に日本の軽空母「いぶき」(航空機搭載型護衛艦)艦隊が救助に向かうというミリタリーもの。
主演が「いぶき」の艦長と副艦長役の西島秀俊と佐々木蔵之介。表情が乏しく、セリフ棒読み。ふたりとも、明らかにミスキャストだって。内閣総理大臣にいつもの難しい表情の佐藤浩市とか、新聞記者に可愛いだけの本田翼、オカシイだけの小倉久寛、明るいコンビニ店長に中井貴一とか、邦画特有の賑やかな友情出演歓迎キャスティングをしたばっかりに、意味のないサブストーリーは増えるわ、お涙頂戴のクサイ芝居が続くわで、映画への集中度が削がれた。

戦争放棄条文とか自衛権だとか、どっちつかずの演説口調の長いセリフにも辟易。ミリタリーものはドキュメント風にしてくれた方がずっと楽しめる筈。いくら日本の自衛隊が優秀だからって、テキの魚雷やミサイルはコッチに当たらないって、大東亜戦争の進軍ニュース映画のノリ。うーん、エンターテインメントでも反戦でも国威高揚でもない映画、時間のムダだった。かわぐちかいじの漫画だけでやめといたほうがいいよ、ゼッタイ。


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