2023年1月30日月曜日

「オペレーション・ミンスミート 」

 「オペレーション・ミンスミート ―ナチを欺いた死体―」(22年 英)原題:Operation Mincemeat

ひさしぶりにメッチャ面白くて、2度見。主演のコリン・ファースはハズレがないとの自説を再確認。第二次大戦時、英軍が死体に軍服を着せ秘密文書を持たせて独軍情報部を騙したという小説をもとにして作られた新作。コリン・ファースの映画は、英語がわかりやすいから字幕で楽しむようにしている。

吃音のイギリス王ジョージ6世を描いた「英国王のスピーチ」(10年)でコリン・ファースを知り、「シングルマン」(09年)、「キングスマン」(14年)、「1917 命をかけた伝令」(19年)ほか、彼の主演作を追っかけながら見続けてきたが、ハズレがなかった。似た名前で、自分でも時々混乱してしまうが、同じく英俳優のコリン・ファレルがいて、新作「THE BATMAN-ザ・バットマン-」(22年 米)では、バットマンの敵役のペンギンを演じていて、なかなか良かった。

英俳優が好きなのは、半分はキングス・イングリッシュのせいか。40歳近くになったころに初めて就いてくれた英語の個人教師が、香港生まれの若い英国人。それまでに学んできたアメリカ英語というか、耳から学んだイイカゲン米俗語の発音や言い回しにことごとくダメだしをされながらも、おかげで自分の英語を話すチカラの改善を実感することができるようになり、キングス・イングリッシュと英国に愛着を感じるようになった。

2023年1月20日金曜日

ロバの耳通信「リグレッション」「スペシャル・フォース」「グッドナイト・マミー」「デッドand キル」「エージェント:コール」


「リグレッション」(15年 米、カナダ、スペイン)

Regressionはシステムエンジニアがよく使う言葉でDegradeと同じ。プログラムをイロイロいじくって改善しているうちに、前のほうがよかったと考えられる状態になること。改悪のような意味合いだが、この映画ではイーサン・ホーク演じる刑事がオカルト殺人の捜査をしていて、被害者のひとりエマ・ワトソンがワルモノだと気付く「え?オマエが真犯人?」と観客も驚く。なんとも不思議な題をつけたものだが、映画そのものもAAAのような頭巾のカルトを出したり、オドロオドロシイ画面が続くが、鳴り物付きで驚かせるオバケ屋敷の感。イーサン・ホークは好きな役者だが、多くの作品を見た割に記憶に残るようなのがない。この映画でも冴えない。「ハリー・ポッター」シリーズ(01年~)ハーマイオニー役のエマ・ワトソンはもともと好きな役者じゃない。セリフは棒読みだし、第一色っぽくない。
この映画、この秋日本公開だという。うーん、すすめられないなー。

台風の影響でか、朝からずっと雨。GYAOはタダ見できる映画が増えて重宝している。気のせいか音質もよくなった、ということで雨の自宅映画会。結果、4戦0勝。

「スペシャル・フォース」(11年 仏)

アフガニスタンのカブールでタリバンに誘拐された女性ジャーナリストを救出するために派遣されたフランス特殊部隊の活躍をドキュメンタリーフィルムのタッチで撮影。結局身を挺した特殊部隊によりジャーナリスト救出は成功するのだが、悪の象徴とはいえ、タリバンの兵士がバタバタと殺されるシーンの連続は気持ちの良いものではない。



「グッドナイト・マミー」(16年 オーストリア)

事故から戻ってきた包帯だらけの母親がニセモノじゃないかと疑う双子の兄弟。ポスターもグロいが、母親を疑い、真実を確かめようと母親に仕掛けをする兄弟の行動もグロい。最後に、あーそういうことだったのねと半分納得もするのだが、結末を精神病のせいにされ、後味の悪い映画になった。

「デッドand キル」(12年 米)


高額賞金目当てで大富豪の屋敷に招かれた8人の男女が生死を分けたゲームに参加するサバイバル映画。よくありそうな舞台設定だが、殺され方がグロくて、辟易。

「エージェント:コール」(14年 米)


麻薬捜査官役の主演のゲイリー・ダニエルが007のダニエル・クレイブ張りに頑張っているのだが、ゼンゼンさまになってない。無実の罪で拘留されているメキシコ人のような弟とか、どうしてそうなったかわからない元妻の存在とか、とにかくストーリーがめちゃめちゃで、手抜き映画とはこういう映画。

2023年1月10日火曜日

ロバの耳通信「ジェノサイド」「秘密」「ゼロの焦点」

朝から雨、予報だと明日の夕方までだと。出かけるのも億劫だし、ということでひとり映画会。カミさんは前に読んだ「ジェノサイド」(11年 高野和明 角川書店)をまた読むということで遊んでくれない。

「ジェノサイド」は難病(肺胞上皮細胞硬化症)の治療薬を研究する青年、その難病に苦しむ息子を持つ特殊部隊の傭兵の物語。SF風で冒険あり謀略ありの大作で、ワタシもめっちゃ面白く読んだからカミさんが雨の日にまたゆっくり読みたいという気持ちもよくわかる。

「秘密」(99年 邦画)

で、見たかった映画リストの中から今日は「秘密」にした。ワタシは大変な広末涼子ファンで、書きだしたら止まらないほど広末の映画を見て「まいって」きたが、この「秘密」の広末も可愛かった。同名の東野圭吾の原作で、交通事故で母娘一緒に事故に遭い、死んでしまった母(岸本加世子)に成りすました娘(広末)が残された父(小林薫)と一緒に暮らすという物語なのだが、映画では(当たり前だが、原作でも)死んだ母のタマシイが娘に乗り移るという設定でなかなか面白かった。広末と小林は日本アカデミー優秀主演女・男優賞を取っているが、監督(滝田洋二郎)のチカラも大きいと思う。滝田と広末のコンビでは、広末が日本アカデミー賞をとった「おくりびと」(08年)もよかった。

広末の魅力とは何なんだろうと考える。カミさんに言わせれば、そう美人でもないと。あの顔と声なんじゃないかと思う。

「ゼロの焦点」(08年 邦画)

新婚まもない夫(西島秀俊)が北陸で行方不明になり、必死に探す新妻(広末)。夫には知らない過去があり、戦後アメリカ兵相手の売春婦をしていたふたりの女(中谷美紀、木村多江)の存在も。同名の原作は松本清張。玉音放送や戦中のモノクロ記録フィルムで始まるモノローグも、時代も、ストーリーも、場所も季節もすべてが暗い。輝くような広末の白無垢姿も、表情はなんだか暗い、そのあとの出来事を予感するように。少し年を取ってからの広末は暗い作品が似合う。中谷美紀の冷たさとも木村多江の哀しさとも違う。それにしても、だ。ヒロスエはいいね。