2023年2月28日火曜日

ロバの耳通信「愛を複製する女」「人が人を愛することのどうしようもなさ」

「愛を複製する女」(10年 独・仏・ハンガリー)

交通事故で失った恋人のクローンを自分が生んで育てる女を仏女優エヴァ・グリーンが演じている。クローン息子が恋人ソックリに育って、その恋人に嫉妬するなんてとこまではとにかく、ベッドまで一緒にするとかいう話にまでしてしまうとちょっとね。原題 Wombは子宮の意。「愛を複製する女」というから、恋愛+ミステリーを期待してたのにかなりキモイ映画だった。八つ当たりでもなく、この女優、あんまり好きじゃない。「シン・シティ 復讐の女神」(14年 米)や「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」(16年 米)とか、まあ目立つし女優としては、個性は売り物だろうけれども。

「人が人を愛することのどうしようもなさ」(07年 邦画)

ひとことで言えば猥雑。喜多嶋舞が夫の浮気に悩み、娼婦になる。なんでーとか、まあどうでもいいか。

石井隆は好きな漫画家・監督・脚本家で、映画だけでも「天使のはらわた」シリーズ(78年~)、「ラブホテル」(85年)、「花と蛇」(04年)などかなり見てきたが、喜多嶋をセクシーに撮ることに溺れ、石井隆の「男本位の映画作り」を忘れた作品。「人が人を愛することのどうしようもなさ」なぜ、こんな映画見て時間を無駄にしてしまったか。

2023年2月20日月曜日

ロバの耳通信「サン・オブ・ゴッド」「パラサイト・クリーチャーズ」

「サン・オブ・ゴッド」(15年 米)

キリストの伝記映画。聖書やキリストを題材にした映画をいろいろ見てきたが、この映画が一番良かった。いままでよく知らなかったイスラエル、当時イスラエルを統治していたローマ軍、ユダヤ人などの背景となる歴史もわかりやすかった。キリストが起こした奇跡も、海を真っ二つにしたり、そんな大げさなものもなく、落ち着いて見られたが、定石とも言えるユダの裏切りなどがあからさまに描かれていたのは、残念。そもそも、この誰かによって作られたこの聖書物語がヒットラーによるユダヤ人迫害や、中東戦争の要因になっているから。吹き替え版で見たキリスト役のポルトガルのイケメン俳優のディエゴ・モルガドの表情や静かに響く声が良かった。タイトルバックの回教の経文のようなテーマ曲も、効果音楽(ハンス・ジマー)も良かった。
この映画の元となっているのが聖書を題材にした全10話のミニシリーズ「ザ・バイブル」(13年 米テレビ:ヒストリー・チャンネル)だとwikiにあり、キリスト役は映画と同じディエゴ・モルガドだと。探してでも見たい。

「パラサイト・クリーチャーズ」(13年 オーストリア)

アルプスの山中で見つけた謎の生物は昆虫と哺乳類のアイノコだったというホラー話。あげくのはては犬と人間のアイノコまで登場。この手の映画、アイノコの作り込みをちゃんとしてくれないと怖さが伝わらない。ありえない話に怖さを持たせるには、ありそうな話にする合理的だと思わせるストーリー展開と、観客をたじろがせるバケモノの出来、リアリティーじゃないかな。「エイリアン」を初めて見たときの衝撃をワタシは忘れない。

アルプスの観測所を視察に来て、バケモノと闘うハメになる大臣がマッチョ風の中年女というのがなんとなく、女性の政治家が多いと言われているオーストリアらしいのかな。

2023年2月10日金曜日

ロバの耳通信「ラスト・ターゲット」「ターミネーター4」

 「ラスト・ターゲット」(10年 米)原題: The American

彼女ができたことから足を洗おうとした殺し屋ジャック(ジョージ・クルーニー)が雇い主に殺されてしまう。ミステリー小説ではおなじみのスジだが、ジョージ・クルーニーが冷徹な殺し屋を演じていて、狙撃銃の改造のディテールやイタリアの田舎町の風景など見どころの多い作品。この作品、初見ではなかったが気に入ったシーンを何度も楽しめるネット動画だし、娼婦クララ役のイタリア女優ヴィオランテ・プラシドの画像を調べたりで十分満喫した。

うん、この作品でジョージ・クルーニーの相手役となった女優が皆いい女。映画が始まってすぐに殺されてしまう恋人役のイリーナ・ビヨルクルンド、ジャックを狙う女スナイパー役テクラ・ロイテンほか、主役を張ってもいいくらいの女優たちの美しさも”また”楽しめた。多分”また”みることになるだろう。

「ターミネーター4」(09年 米)原題: Terminator Salvation

「ターミネーター」(84年 米)は初めてDVDプレーヤーを買ったときについていたオマケの2枚DVDのひとつ。ちなみにもう1枚は坂本冬美のライブ。とにかく、DVDがまだ高くて、レンタル屋も少なかった時代だからこの2枚のDVDを繰り返し楽しんだ。

シュワちゃん(アーノルド・シュワルツネッガー)は無敵の強さで格好良く、リンダ・ハミルトンもこの作品で好きになった。その後、この「ターミネーター」シリーズは、枝葉も含め全部制覇したつもりでいたが、この「ターミネーター4」は見ていなかった。ジョン・コナー役にクリスチャン・ベール、マーカス・ライト役にサム・ワーシントンと豪華配役で臨んでいるが、このシリーズを何度も見ているせいか、ストーリーにも新鮮味を感じられず、派手なドンパチのあとも、”マシンと人類は永遠の抗争を続けるのだった”の想定内エンディング。うーん、シリーズ物って難しいよな、の感想を持った凡作。