「フリー・ガイ」(21年 米)原題:Free Guy
ゲームの背景キャラ(モブキャラ)のガイ(ライアン・レイノルズ)が、ゲームのキャラ女性モロトフ・ガール(ジョディ・カマー)にひと目惚れ。空想のゲームの世界、切った貼ったの暴力シーンなしだから誰もが楽しめる楽園ゲームの映像化。なんともハチャメチャだけどヘラヘラ笑いながら肩ひじはらず楽しめた、ザッツエンターテインメント。勧善懲悪のシナリオ、登場キャラが多彩ながらステレオタイプの明るいアメリカ人ということでアメリカでは興行成績が良かったらしいが、そこまで明るくなれない日本市場には受け入れられなかったらしい。ネットにアップロードされ、動画共有サイトで評判になればゲーマーたちにも広がってくるんじゃないかなとも思えるが、日本のゲーマーたちは、ゾンビと戦う「バイオハザード」みたいなのが好きだからこれ以上伸びないかも。
個人的には、ゲームプログラマーのミリーとゲームキャラのモトロフ・ガールのダブルキャストの英女優ジョディ・カマーが可愛くてメッチャ気に入ったね。
「ノーカントリー」(07年 米)原題: No Country for Old Men
ハードボイルド作品で突出した個性のあるコーエン兄弟製作のミステリー映画。砂漠の真ん中の麻薬の取引現場で偶然大金を手に入れたベトナム帰還兵(ジョシュ・ブローリン)とそれを追う牛屠殺用エアガンを持つ殺し屋(ハビエル・バルデム)の追跡劇。メキシコとの国境の町で凶悪化している犯罪に嫌気をさしている老保安官(トミー・リー・ジョーンズ)の語りで映画が進む。イエーツ(英国の詩人William Butler Yeats)の警句から取ったという静かな語り口のセリフは、このあと始まるのが殺戮の繰り返しだと知っているから、余計に心に響く。スペインの怪優ハビエル・バルデムの殺し屋の気味悪さがなんとも言えないくらいにいい。こんなに存在感のある俳優はめったにいない。そして、見るたびに息を詰めるほどに驚くのが、終盤に殺し屋が交通事故に遭うところ。カメラワークも効果音も唐突で、本当にドキンとする。
存在感といえば殺し屋を追う賞金稼ぎ(ウディ・ハレルソン)の静かな語り口がいい。ベトナム帰還兵の田舎臭い妻を演じているスコットランドの女優ケリー・マクドナルドの投げやりな表情や声が好き(だから字幕で見ることを強くすすめる)。
雨の日や寒くてでかけたくない日にまた見ることにしよう。