2025年4月10日木曜日

ロバの耳通信「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」「バッド・ガイズ!!」

「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」(08年 米)

ずっと前に予告編だけ何度も見ていたのに、今日までついぞ見る機会がなかった映画。予告編や映画雑誌で、ジジイの顔をした捨て子の赤ちゃんが養老院で育てられ、年を経るにつれて若返るというおおまかなスジは知っていたが、主演のブラッド・ピットの演じるベンジャミンが予告編では予想もできないいい味を出していた。優しいメロディーで始まり、主人公の追憶とことわざのような警句モノローグで進んでゆく映画は「フォレスト・ガンプ/一期一会」(94年 米)を思い出した。

ジジイ顔で生まれ、ついには若返って死んでしまうベンジャミン。幼なじみでのちに妻となるデイジー役のケイト・ブランシェットが映画当時40歳ちかくなのに、若いバレーダンサー役で、これがとても若々しくてドキドキするくらいきれいで、ソロダンスシーンもメッチャよかった。ベンジャミンが若い頃(外観はジジイ)にロシアで横恋慕してしまう人妻役の英女優ティルダ・スウィントン(「フィクサー」(07年 米)ほか)の身についた上品さに、ワタシもまいってしまった。

年老いてゆくデイジーと若返りしてゆくベンジャミンの切ない思いが伝わってきたが、この何とも言えない複雑な感情、若いのにはわからないだろうな、きっと。「フォレスト・ガンプ」も何度も見たが、この映画もきっと何度も見ることになるだろう。うん、うまく言えないが、とにかく思い出に残るいい映画だった。

「バッド・ガイズ!!」(16年 ロシア)原題 War on Everyone

なぜか愛すべきドジ刑事役が多いメキシコ系アメリカ人マイケル・ペーニャ(ワタシは結構好き)、とスウェーデンのイケメン俳優アレクサンダー・スカルスガルドが性格真反対の悪徳刑事のペア役。人種差別やら、小児肥満問題などアメリカの社会問題をネタにし、シュールに苦笑いさせられる。これがロシア映画とは驚きだが、アメリカ大統領選挙での助け合い?とか見てると、もはや仮想敵国関係とも言えなくなった米ロだからこれくらいの揶揄はOKなのか。刑事が相手をするギャングがロシアンマフィア風、じっさいのところロシアンマフィアなんて映画でステレオタイプ化されたものを見るだけだから、当たっているかどうかわからないが、ソノ気取ったロシアンマフィアがラストでみんな殺されてしまうというなんともマヌケな自虐映画。まあ、退屈せずに雨の日を過ごせたからヨシとしよう。