2025年8月10日日曜日

ロバの耳通信「フォース・プラネット」「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」

「フォース・プラネット」(16年 米)原題 Approaching the Unknown

火星探検の第1号として派遣された船長(マーク・ストロング)は、土から水を作り出す”水炉”の発明者で絶対の自信を持っていた。ところが、火星への長旅の間、水炉の調整時にバルブの接続を間違えるという”へま”をして水をつくることができなくなる。火星に行っても、水が作れなければなにもできない。地球に戻るには離れすぎ、しかも過大な期待をされて送り込まれた”専門家”の矜持もある。
ラストシーンは、火星に降り立ち生物はいないとモノローグするが、これが実際の出来事か、夢まぼろしだったのか。

「キングスマン」シリーズ(14年~ 英)で、スパイの先生マリーン役でいい味を出していたマーク・ストロングもこの「フォース・プラネット」では、自称専門家の鼻っ柱ばかり強い宇宙船の船長。思いがけない水炉のトラブルで、自分を失っておかしくなってゆく様がなんとも。

それにしても一年ちかく、ひとり宇宙船の中で過ごすってのはどうだろう。たとえは悪いが、ネット喫茶の個室で一年暮らすようなものか、それもいいんじゃないか、ワガママ放題、三食付きネット環境付き、うーん。一週間くらいならいいか、と楽しい妄想。

「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」(14年 ノルウェー・スウェーデン・デンマーク)

何と、安易な邦題だ。原題kraftidiotenは失踪、みたいな意味らしい。
雪上車の運転手(ステラン・スカルスガルド)の息子の大学生の死体が見つかり、麻薬の過剰摂取という警察の説明に納得せず真相を突き止めるべく、息子の友人関係から調査を進める。麻薬カルテルの末端から一人づつ殺してゆき、地元ラスボス”伯爵”までたどりつく。伯爵は、部下たちの失踪を、セルビア人ギャングの裏切りと勘違いし、地元ギャングとセルビア人ギャングの抗争に発展する。
面白いのが、舞台がノルウェーの街なのに、スウェーデン人、アジア人、セルビア人など多様の人々が登場するし、運転手もその兄の元ギャングもギャングのボスの伯爵も、みんなうるさい妻たちに悩まされていること。福祉が行き届いた北欧の特徴なのだろうか。

先週、映画にでもと放映プログラムをチェックしていたら、この映画のリメーク版「スノー・ロワイヤル」リーアム・ニーソンの主演で放映されていると。監督も本作と同じくハンス・ペテル・モランドらしい。リーアム・ニーソンって、どんな映画でも同じ演技。まあ、この役には合ってるとは思うけれど、映画館に行ってまでもという気はしないかなー。「スノー・ロワイヤル」って邦題もなんだかね。