「KIMI/サイバー・トラップ」(22年 米)原題:KIMI
ネットの中の殺人事件に遭遇し、それを届けようとしたばかりに殺し屋に追われることになったひきこもりのネットオタク(ゾーイ・クラヴィッツ)を主人公にしたアクション映画。前半はネットの音声から殺人事件に気づく謎解き、後半ブチ切れたオタクがネイルガンを持ち出して大暴れ(あまりに楽しくてココは二度見)。久しぶりの興奮の新作、見終わってチェックしたら監督がスティーブン・ソダーバーグだって。まあ、面白くないワケがない。
原題のMIKIは映画の中の音声ソフトの名前。siriやアレクサみたいなもの。
”文部省選定”、実際は”文部科学省特別選定”という長ったらしいタイトル付きだったが、小学校の講堂とかでこの手の映画を見た世代だし、だいたいは涙、涙の映画が多かったから、このタイトルだけでも昔見た映画を思い出し、涙が出そうになった。
九州の炭鉱島、福岡県の設定で言葉の訛りも博多のソレだが、長崎県の池島炭鉱と福岡県の志免(しめ)炭鉱がモデルだという。この炭鉱町に出戻りで洋品店を営むことになった母子(小雪と池松壮亮/少年期ー中村大地)と炭鉱町の人々との交流を描いている。信さん(石田卓也/少年期ー小林廉、この子役が秀逸)は、炭鉱町に住む、まあガキ大将なのだが、飲んだくれの父を持つ優しい少年。子供たちが汚れた格好で三角野球で遊ぶシーンは、懐かしくてキュンときた。
時代設定は昭和38年。その頃は、どこにも原っぱがあり、真っ黒になって夕方まで三角野球をやっている子供たちがいたのだ。長屋あり、朝鮮人差別あり、駄菓子屋あり、ボタ山あり、炭鉱事故ありの映画だったが、いちばん感動したところは、小雪に抱きしめられた信さんが、貧しすぎて誰にも優しくされなかった自分のことを思ってか、泣き出すシーン。息子を炭鉱事故で失った大竹しのぶが、途方に暮れながらも持って行きどころのない怒りを込めて米を研ぐところも。友人のキレイなお母さん役の小雪がメッチャ良かった。
夕方、幼い男の子の泣く声と「だから言ったじゃない、何してんのよ」と子供を叱る若い母親らしい声が聞こえた。叱られた子供は「お母さん、痛いよー」と泣きじゃくっている。ベランダの上から覗いたら、駆け出した子供が転んだらしい。ケガした様子もないが、膝かどこかを打ったらしく母親に甘えるように大きな声でずっと泣いていた。
自分の幼い頃を思い出した。ワタシの幼い頃は、複雑な家庭の事情があり、母親に甘えて泣くなんてことは思いもつかなかった。泣き続ける子供をうらやましくさえ思った。
この映画は動画サイトめぐりをしていて偶然に出会ったのだが、いい映画。うん、ポスターはひどいけどね。
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