邦題を見て「蠅の王」(90年 米)とか「王の男」(05年 韓国)とかのナントカの王とか王のナントカとかという映画で面白い作品と出会っていたのでその類かなと勝手に想像していたらえらく違っていた。

ともかくこの英国の刑務所に少年刑務所から移された青年が、同じ刑務所で終身刑として収容されていた父親と会い、最後は絆を取り戻すーとまあ、最後のオチはあるにしても、この青年が自分で起こす暴力、リンチのシーンの連続が酷い。邦題の「王」が、暴力に走る青年のことか、刑務所内で人を殺したために終身服役者として一目置かれていた父親か、刑務所のボスのことか、囚人を更生させようと無給で働くコンサルタントのことか、はたまた刑務所を仕切る所長のことか、誰を指すのか、或いはそのすべてを指すのかはわからない。「名もなき塀の中の王」残酷だが救いもある、見るべき映画のひとつだろう。
刑務所を題材にした映画は名作が多い。「ショーシャンクの空に」(94年 米)、「グリーンマイル」(00年)、「アルカトラズからの脱出」(79年)、「告発」(95年)、「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」(03年)、まあ、キリがないからこれくらいにするが、刑務所というところは人間の本性が出るところだ映画の題材にいいのだろうか。
邦画ではテレビドラマだが「破獄」(85年 NHK)の緒方拳が良かった。テレビ東京によるリメーク版は山田孝之が主人公を演じていたが迫力不足。看守部長をビートたけしを配するなどワキに芸達者がいたからなんとか見られたが、前作にも、もちろん原作(「破獄」吉村昭)にも及ばず。
「処刑島」(06年 英)wilderness
少年刑務所のワルたちを集め軍が訓練に使っていた島に送り再訓練をさせる。その少年刑務所でワルたちにイジメられ自殺した少年の父親(実は特殊部隊出身)が島に乗り込み復讐するーという、安易このうえもない設定。さらに、同じタイミングで少女感化院の札付もこの島で矯正訓練を受けているという、どうしようもない無理無理設定。
ワルや札付が次々に殺され、犯人のはずの元特殊部隊の男も殺され、じゃあ、誰が真犯人かと、謎解き風にもなっているが、そもそものストーリーに意味付けがされていないから考えるのもばかばかしくなるB級映画。
少年院のワルたちが、いかにもワルの顔で、どこかで見たような顔。こういう顔と街で会いたくないなーと、そんなことを考えていた。
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