ロシアの潜水艦にファントムという偽装装置ーほかの国、例えば中国の潜水艦の音を出す装置を乗せ、米国の潜水艦を核ミサイル攻撃させ米中の核戦争を起こさせようとしたという史実に基づき作られた映画、と思っていたが実際のところは、事実の部分はハワイ近海でロシアの潜水艦が行方不明になったということ「だけ」が事実らしい。事実に基づき作られた映画とタイトルのあとにそれらしい字幕がはいり、ああ、実話かと誤解してきたが、なんてことはない、映画の一部に事実が含まれているくらいの意味らしい。
とはいえ、映画はすごく面白かった。ロシア艦の艦長にエド・ハリス、ファントムを持ち込んだKGB役にデイヴィッド・ドゥカヴニー(「X-ファイル」(93年~米テレビシリーズなど)のモルダー捜査官)、副長役 ウィリアム・フィクナー(「アルマゲドン」(98年 米)シャープ大佐)ほか、有名な役どころを揃えてはいるが、なんといってもエド・ハリスの存在感はすごい。無名の音楽監督ながら、最高の効果音楽で閉鎖空間の音響とあいまってすごい緊迫感も味わえた。
潜水艦モノの映画は大好きで結構見てきたが、ベスト3を上げれば「U・ボート」(81年)、「レッド・オクトーバーを追え!」(90年)、「クリムゾンタイド」(95年)か。共通しているのは閉塞感と緊迫感、結末はわかっていても、手に汗握ってしまう。
「ザ・マミー」(17年 メキシコ)原題:Vuelven
”未体験ゾーンの映画たち”は、12年より毎年開催の映画祭。有名スターが出ていない、宣伝予算が出ないーつまりは”売れないだろう”という作品を集めてマイナーな映画館で見せている。今年は56の映画が出品され、「ザ・マミー」はその中のひとつ。ほぼ同名の「ザ・マミー/呪われた砂漠の王女」(17年 米)がトム・クルーズ主演で、テレビCMもガンガンやったのに売れなかったが、このメキシコの「ザ・マミー」はよくできた映画だったとワタシは思う。うん、ネットでの評判は良くなかったし、確かにハリウッド向きじゃない。
母親がギャングに誘拐され、ストリートチルドレンと一緒に生きるしかなくなった少女が、彼女だけにしか聞こえない母親の声に導かれ、ギャングと闘う。ストリートチルドレンたちの明るい表情は救いだが、そこでは警察の腐敗、誘拐、殺人。母親の声や死んだ仲間の霊の導きで復讐を果たすなんて、スティーブン・キング好みか。
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