「空気人形」(09年 邦画)
ちゃんと原作もあるらしい(「ゴーダ哲学堂 空気人形」(業田良家 小学館))のだが、映画としてはいいところとあまりわからないところと。ラブドール人形役の韓国女優ペ・ドゥナが微妙にかわいい、板尾創路ほか多彩な配役がそれぞれに個性的、撮影監督(台湾のリー・ピンビン)のおかげで映像がキレイ、なにより原作からもってきたらしい、映画のキャッチフレーズにもなっている“心をもつことは、切ないことでした”とか、人形のしゃべる多くのセリフが象徴的で、賢くわかったフリをしたいのだが、本当のところは難しくてゼンゼンわからない。若い頃、サルトルやカミユをわかったフリをしていつもカバンに入れていた、そんな気分に近い。ゼンゼンわかっちゃいなかったのだ。
監督・脚本・編集の是枝裕和については作品により好みのわかれるところだが、難しい作品をこれだけまとめた力は買ってもいいか。ただ、また見たいと思う映画じゃなかった。
「許されざる者」(13年 邦画)
オープニングの映像や音楽でまずドギモを抜かれた。これ、本当に日本映画かよと。配給はワーナー・ブラザーズだが、監督(李相日)や脚本など製作スタッフこそ日本人は少ないものの、ハンス・ジマーばりの音楽(岩代太郎)や撮影も素晴らしく、ハリウッドの大作にも引けをとるものではなかった。配役も渡辺謙、柄本明、柳楽優弥、佐藤浩市ほか今こういう作品を作るにしてもこれだけのキャスティングはできないだろう。
特に記憶に残ったのは遊女役の小池栄子。ボロ衣装に浅黒い顔から射込んでくる双眸の鋭さ、最近はバラエティなんかにも出て柔和な表情を見せることも多い小池栄子も昔は確かにこういう女優だったと。
「許されざる者」はアメリカのアカデミー作品賞を受けた同名の映画(92年 米 クリント・イーストウッド監督、主演)のリメイクだという。
個人的な意見だが、オリジナルよりこの日本映画のほうが、断然良かった。両方とも見てはいないカミさんに言わせると、そりゃそうでしょうと。観客の自分と映画の距離感が違うと、うーん、確かに。
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