2023年12月20日水曜日

ロバの耳通信「エネミーライン ドイツ軍大包囲網からの脱出」「クライム・ボーダー 贖罪の街」

「エネミーライン ドイツ軍大包囲網からの脱出」(19年 カナダ)原題:Beyond The Line

第二次大戦末期、英空軍の撃墜王ベイカー(クリス・ウォルターズ)は独機との戦いで墜落。パラシュートで降下したところが独軍がウジャウジャの森。偶然出会った米兵に助けられ独軍と戦いながら脱出する。ベイカーは撃墜王にもかかわらず、地上での戦闘経験のない根性ナシ。米兵は冷酷無上の殺し屋風。

ふたりの兵士を対比させたストーリーは興味深かったが、米兵に撃たれ、バタバタと倒れてゆく人形の兵隊のような独兵の描き方が不思議。まあ、反戦がテーマなのだろうがソコも伝わってこない。敵地の森の中の設定とはいえ小声の英国訛りの英語は聞き取り辛く、字幕がなければどうしようもなかったろう。

プロローグとラストの墓参りのシーンはトム・ハンクス主演「プライベート・ライアン」(98年 米)のソレとそっくり同じ。パクリもここまでくると、なんだかね。

同名の「エネミー・ライン」Behind Enemy Lines(01年 米)も撃墜された航空士(オーウェン・ウィルソン)の脱出劇を描いたもので、監督がジョン・ムーア、共演にジーン・ハックマンとかもいてメッチャ面白かったのに。

「クライム・ボーダー 贖罪の街」(14年 フランス・ベルギー・アルジェリア)原題:Two Men In Town

こんなに哀しい映画はあまりないんじゃないか。
保安官助手を殺した罪で18年の服役を終え仮釈放となった男(フォレスト・ウィテカー)が、メキシコ国境に近い砂漠の街で懸命に更生の道を歩もうとする。もちろん世間は簡単に許してくれない。差別され、虐げられて最後は行き場のない怒りに爆発。

男に部下を殺されたトラウマに今も苦しみ、憎しみで対峙する保安官(ハーヴェイ・カイテル)、主人公と保安官が原題のふたりの男。

保護観察官に英女優ブレンダ・ブレシン、昔のワル仲間にプエルトリコのルイス・ガスマン、男が思いを寄せるメキシコ女役にドロレス・エレディア、母親役にエレン・バースティンなどマイナー作品とは思えない錚々たる配役。登場人物の全員が過去を引きずって哀しみに生きている。もちろん、幸せな結末なんてありえない。

フランス映画「暗黒街のふたり」(73年 アラン・ドロンとジャン・ギャバンの刑事)のリメイクだそうだが、スジは似てるものの映画の印象は全く違う。どっちも哀しい映画なのだが、うまく説明できん。


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