2024年8月20日火曜日

ロバの耳通信「アンダーウォーター」「シークレット・ミッション」

「アンダーウォーター」(20年 米)原題: Underwater

深海調査基地が海底地震で壊れ、そこから脱出しようとする隊員たちが地震で起こされた未知の生命体に襲われるという、既視感に満ちたストーリー。未知の生命体に襲われる話なんてのは、舞台が宇宙であったり、海底であったりはするもののもう飽きていて、さらに拙いことにCGの出来が悪く、画面が暗くて、何が何やらさっぱり。未知の生命体も薄暗い深海でゆらゆらとうごめくだけで、キモくも怖くもない。効果音も音楽もゼンゼン。ラストはお決まりの真実は不明のままであるという、新聞記事で締めるなんて。

これから日本公開ということだが、オバケ映画のようにせいぜい脅かした予告編で客寄せするのだろうがコロナ騒ぎで映画に行く人も皆無だろうから、どうなるものやら。20世紀フォックス最後の作品がコレかと幻滅。

唯一の救いは、胸ペタ、イケイケ姉さんの米女優のクリステン・スチュワート「トワイライト〜初恋〜」シリーズ(08年~米)で内気な女子高生ベラ・スワンを好演)がいつものように格好良かったことくらいか。

「シークレット・ミッション」(13年 韓)原題:은밀하게 위대하게


原作はウエブ漫画だという。南(韓国)でアホのフリをして雑貨屋の手伝いとして暮らす北のエリートスパイ。前半のほのぼの、後半の銃撃戦。メリハリのついたストーリー展開は面白く、南の平凡な暮らしに戻りたかったという北のスパイのメッセージは伝わったが、北首脳がなぜスリーパーたちの自決を求めたかとか全くわからないところも多く、違和感が残ったまま。韓国映画には南北のスパイを扱った作品く名作も多いが、当事者でないワタシには、またこれかと食傷。本当のところ韓国人はこの映画をどう見たのだろう。

新型コロナ肺炎騒ぎで普通に出かける機会がぐっと減り、ネット依存症になってしまっている。ウイルスも怖いが、先が見えない不安にメゲそうになる。

ロバの耳通信「アメリカン・ハッスル」「ワイルド・ストーム」

「アメリカン・ハッスル」(13年 米)原題:American Hustle

Hustleには、「ぐんぐん押す」という意味のほかに「だまし取る」という意味があるそうだ。70年代の実際起きた収賄スキャンダルを基に作られたという。詐欺師役のクリスチャン・ベールとその片棒役エイミー・アダムスがゼンゼン詐欺師の役にあってなくて、こんなのに騙される方が悪いだろうと思ったりして。

映画批評サイトRotten Tomatoes の高評価のわりにつまらなかったと思うのは、たくさんの名優を揃えたのに配役を生かせてなく退屈感を感じ、どんでん返しの詐欺事件の結末が予想通りで、ちっとも驚かせてくれなかったから。当時のアメリカ人はこういうのが好みだったのかなあ。チョイ役でデ・ニーロまででてるんだもんなぁ。
唯一の収穫は、クリスチャン・ベールの妻役のジェニファー・ローレンス<「ウィンターズ・ボーン」(10年)>と会えたことかな。色っぽくて大好き。

「ワイルド・ストーム」(18年 米)原題:The Hurricane Heist

ハリケーンに乗じて紙幣処理場を襲った強盗団と戦う財務省職員や気象学者。。アリゾナを襲ったカテゴリー5という最大のハリケーンという想定だから、日本の台風の比じゃなく大型トレーラーも空を舞う迫力がすごかったけど、ディザスターパニックムービーって結構飽きるんだよね、ナカミがないから。
 
うーん、名監督ロブ・コーエンはキライじゃないんだけど、もはや昔のヒトかな。ザ・スカルズ/髑髏の誓い(00年)、ワイルド・スピード(01年)、トリプルX (02年 いずれも米)とか、若い頃は夢中で見れたんだけどね。うん、変わったのはロブ・コーエンじゃなく、私の方なんだろうけどね。

2024年8月10日土曜日

ロバの耳通信「シタデル」「プレッシャー」

「シタデル」(12年 アイルランド・英)原題: Citadel

原題は城塞の意。人の恐怖に取り付いて悪さをする子供の形をした悪魔に妻を殺された男はトラウマから広場恐怖症に。初めての場所や暗闇が異常に怖いPTSDの一種らしいが、取り付かれた若い父親役にアナイリン・バーナード。顔に見覚えはあるが、名前と顔が一致するほどは知らなかったが、とれることのない目の下のクマがなくても、表情が良かった。
残された乳飲み子を悪魔に攫われ、悪魔払いの牧師と悪魔に立ち向かう戦うために悪魔の巣窟である城塞、廃墟になった高層アパートに乗り込む若い父親。
15禁のワケは、悪魔の生まれた訳は近親相姦だという。牧師はヒトが作り出した悪魔をガンのようなものと説明するが、もしかしたらヒトが作り出した新型コロナウイルスもそうなのかと、牧師の言葉に説得力を感じた。
廃墟の中に懐中電灯に浮かび上がる悪魔の映像も、音楽も効果音も怖い。半端な怪談映画よりずっと怖い。「恐怖を映像にする」と、こうなると教えてくれた映画。映画が教えてくれたのは、恐れることで悪魔はヒトの心に住み着くと。だから、恐れるだけではダメだと。

エンドロールの曲が暗くて歌詞の字幕を読みながら聞いて、また怖くなった。

「プレッシャー」(15年 英)原題:Pressure

ソマリア沖の石油パイプラインの修理に向かった作業タンク。母線が突然の嵐で沈没。孤立した作業タンクの中の4人の生き残りの物語。酸素が段々少なくなってゆく密室の中で4人の人生が語られる。この手の映画だと、海中からモンスターがあらわれたり、乗組員がゾンビになって相方に襲い掛かったりのとんでもないストーリー展開になったりでバカバカしくなるのが普通なのだろうが、この映画、暖房装置が壊れたり、パイプが外れ酸素がたりなくなったりの地味な変化で楽しませてくれ、ほとんどシリアスな舞台劇に近い。

配役もほとんど知らない俳優ばかりだったのだが、エンドロールの音楽までシッカリ楽しめた。

コロナによる外出制限のため出かけられない雨の夕方、まあ、実際のところコレを言い訳にしてネット動画に張り付いているのだが、いい映画に出会えた。