2016年5月23日月曜日

ロバの耳通信「森山良子Touch me ...」

森山良子デビュー50周年記念コンサート「Touch me ...」に行ってきた。森山のライブは日比谷の野音のフォーク祭り(ほぼ半世紀前なので記憶は曖昧)以来。「愛する人に歌わせないで」(68年シングル)、「森山良子インナッシュビル/思い出のグリーングラス」(69年アルバム)の2枚のレコード(!)が始めだから、抒情とフォークがワタシの森山良子で、まあ懐かしのメロディー聞いて青春の思い出に浸ってくるかと。

スタートは知らない曲で、そのあと懐かしの曲のメドレーを目をつぶって浸りながら聞いて、うんうん、やっぱりライブは浸みるなーといい気持ちになっていたら、映画音楽、シャンソン、ジャズと次から次へ。ああ森山良子は抒情歌謡とフォークだけじゃなかったんだと。

最高のアレンジとアドリブにも聞こえる「聖者の行進」、バーバラストライサンドを強く意識したという「ピープル」など森山が歌うとこういう曲になるんだとただ驚き、感動してしまった。約2時間半のライブでほぼ同じ年の森山良子のパワーをもらい、このところ体調を崩してメゲそうになっている自分にハゲシク活をいれることができたのだ。ライブはいいな、やっぱ。

2016年5月18日水曜日

ロバの耳通信「ひまわりの約束」


「ひまわりの約束」「STAND BY ME ドラえもん」(14年邦画)の主題歌。歌っているのが、秦基博。ずっと知らなくて、「あん」(15年邦画)をネットで泣きながら見ていて、主題歌の「水彩の月」(すいさいのつき)に刺され(まさにグサッと刺され)タイトルバックまでしっかり見てこの曲を知った。「あん」については、テーマが重くてすぐには書けそうもないので、いつかーということにしたいが、この「水彩の月」ほか秦基博の歌をYouTubeサーフィンで調べて、「ひまわりの約束」までたどり着いた。「STAND BY ME ドラえもん」は確かに見たのだが(うん、なんだか懐かしい気持ちのいい映画だった)。

どうして君が泣くの まだ僕が泣いていないのに・・で始まる歌は、優しくて浸みる。弾き語りベストアルバム「evergreen」(14年10月)にふたつともはいっているが、YouTube で歌詞を見ながら聞くほうがずっと浸みる。

秦基博と「あん」の監督・脚本の河瀨直美の対談~君にもう一度会えるとしたら~がDVDのおまけ画像にあるらしく、探しているのだが。河瀨直美も大好きなのだ。

2016年5月15日日曜日

ロバの耳通信「赤目四十八瀧心中未遂」

赤目四十八瀧心中未遂(あかめしじゅうやたきしんじゅうみすい 03年日本)

邦画を見ることはあまりない。理由はうまく説明できない。面白い、つまりは好みの作品に中々あたらないというそれだけ。韓国映画を好んで見ているから、ハリウッド偏重というわけでもない。

「反時代的毒虫」としての「私小説作家」を標榜した車谷長吉は本作で第119回直木賞を受賞。

3時間のこの映画の見所は多い。世間を捨てて毎日モツのクシ打ちで暮らす主人公はいつも下を向いていて、近親相姦を題材にした実相時昭夫監督の「無常」(70日本)の田村亮を彷彿とさせる。アマ(尼崎)のボロアパートに住む雑多な住人たち、入れ墨師、売春婦などなどがそのまま描かれている。音声(録音)が良く、昔の映画をネットで見るというハンディがありながらも、モツを串に打つ音、廊下や階段を歩く音、雨の音、ツクツクボーシのなき声などなどココロにまで響く。機会があれば暗めの画像と一緒に場末の映画館で楽しみたい。

寺島しのぶが朝鮮人の売春婦を演じている。良くは知らないから想像するだけなのだが、いかにもという感じで、濃密なシーンも、一緒に「この世の外へ」の旅に出てしまう結末にもなぜが納得してしまう。この映画だけで寺島しのぶが好きになった。また悪いクセが出た、良い女優にめぐり会うとまいってしまう。

映画仲間からの推薦だと、テレビドラマらしいが「実録ドラマスペシャル 女の犯罪ミステリー 福田和子 整形逃亡15年」というのが良かったと。そうそう、寺島しのぶが週刊誌のネタになっている。「寺島しのぶの乱」は尾上(菊五郎)の「お家騒動」だと。ミーハーの悲しいサダメ、つい読んでしまった。

2016年5月5日木曜日

ロバの耳通信「A BEST -15th Anniversary Edition-」浜崎あゆみ

浜崎あゆみのベストアルバム「A BEST」の発売15周年記念盤「A BEST -15th Anniversary Edition-」が、良かった。

娘が我が家にオキザリにしていた15年前の「A BEST」(2001発売)を良く聞いていた。よく、雨の公園わきに止めた中古レガシーのなかで、カミサンと。子どもたちがみんな巣立ってしまい、すっかりやることがなくなったワレワレは、アテもないのに車ででかけ、一日中を車の中で過ごしたものだ。

そのあと、買った2台の中古車はルーフが薄いコンパクトカーなので、大好きな雨の日に音楽を聞こうとしてもルーフを叩くバラバラという雨の音だけが響き、音楽どころではなくなってこのCDも聞かなくなり、車の買い替えの時に失くしてしまっていた。

1. A Song for ××
2. Trust
3. Depend on you
4. LOVE~Destiny~
5. TO BE
6. Boys & Girls
7. Trauma
8. End roll
9. appears
10. Fly high
11. vogue
12. Far away
13. SEASONS
14. SURREAL
15. M
16. Who…
17. A Song for ××(Acappella Ver.)
18. Trust(Acappella Ver.)
19. Depend on you(Acappella Ver.)

新しいアルバムは、マイベスト3でもあるA Song for XX、Trust、Depend on youは、オリジナルのほかにアカペラも。これがとても良かったんだ。

Song for XXでは尖った少女とその母親との行き場のなかった葛藤をこう歌った。

いつも強い子だねって言われ続けてた
泣かないで偉いねって誉められたりしていたよ
そんな風に周りが言えば言うほどに
笑うことさえ苦痛になってた

ひとりきりで生まれて一人きりで生きていく
きっとそんな毎日が当たり前と思ってた

http://www.uta-net.com/song/11126/

やっぱりあゆみはいいなー、聞いてるだけで浸みちゃうよ、涙がでるよ。あゆみももう37歳。結婚して離婚してそれでも変わらないな、という安心。

2016年5月1日日曜日

ロバの耳通信「僕だけがいない街」

ありえない設定だけど、そこは日常の風景。原作(三部けいのマンガ)も読んだが、声優や主題歌など、文字だけの小説やマンガよりも、アニメは「具体的」に嬉しさや、哀しさなどの感情がナマに眼、耳から直接伝わる。紙の上だけの「ひとりよがりの想像の世界」から、テレビアニメや劇場版アニメでは日々の暮らしのようにより近くに感じることができた。

繰り返し襲ってくる「リバイバル」は、日々の暮らしで感じるデジャブのようだし、トラウマでもある。あらためて考えてみると、ストーリー展開のなかのイベントは、虐待、誘拐といった暴力ばかりなのだが、この暴力から主人公のみならぬ観客をすくいだしてくれるのが、実社会では中々得難く理想ともいえる仲間や友情、というのが、若い人にも受け入れられている理由
ではないか。

いずれにせよ、マンガ、ノベライズ小説、テレビアニメ、劇場用アニメとどのメディアでも耐えられるストーリーは、枝葉で変っているものの、主人公の悟の強い意志とその周りの少女の思いで骨太に組まれており、このストーリもすごいと思う。さらに、マンガから劇場版アニメへの展開のなかで、良質な作画が品質を落とされることなく、またキャラクター設定に合致した、声優のキャスティングなど、きめ細かい演出がされていることなど、近年の作品群でこれだけの品質を維持できていることに感動した。

次の変移として考えられた実写(映画)の失敗で、原作がダイナシになることが怖かったが危惧に終わったようだ。同名の新作(16年3月邦画)藤原竜也はともかく(この世代に良い男優がいない)、ヒロインに有村架純とは・・、乃木坂とか欅坂にいっぱいいるだろうにと本気で。キャスティングにやや不満は残るが、子役の中川翼と鈴木梨央がいい。「ALWAYS三丁目の夕日」(05年邦画)の古行淳之介役で出演した子役の須賀健太がこの映画の本当のヒーローであったように。三丁目の夕日シリーズでは続編が出るたびに酷くなったから、「僕だけが・・」は、続編はいらない。