「赤目四十八瀧心中未遂」(あかめしじゅうやたきしんじゅうみすい 03年日本)
邦画を見ることはあまりない。理由はうまく説明できない。面白い、つまりは好みの作品に中々あたらないというそれだけ。韓国映画を好んで見ているから、ハリウッド偏重というわけでもない。
「反時代的毒虫」としての「私小説作家」を標榜した車谷長吉は本作で第119回直木賞を受賞。
3時間のこの映画の見所は多い。世間を捨てて毎日モツのクシ打ちで暮らす主人公はいつも下を向いていて、近親相姦を題材にした実相時昭夫監督の「無常」(70日本)の田村亮を彷彿とさせる。アマ(尼崎)のボロアパートに住む雑多な住人たち、入れ墨師、売春婦などなどがそのまま描かれている。音声(録音)が良く、昔の映画をネットで見るというハンディがありながらも、モツを串に打つ音、廊下や階段を歩く音、雨の音、ツクツクボーシのなき声などなどココロにまで響く。機会があれば暗めの画像と一緒に場末の映画館で楽しみたい。
寺島しのぶが朝鮮人の売春婦を演じている。良くは知らないから想像するだけなのだが、いかにもという感じで、濃密なシーンも、一緒に「この世の外へ」の旅に出てしまう結末にもなぜが納得してしまう。この映画だけで寺島しのぶが好きになった。また悪いクセが出た、良い女優にめぐり会うとまいってしまう。
映画仲間からの推薦だと、テレビドラマらしいが「実録ドラマスペシャル 女の犯罪ミステリー 福田和子 整形逃亡15年」というのが良かったと。そうそう、寺島しのぶが週刊誌のネタになっている。「寺島しのぶの乱」は尾上(菊五郎)の「お家騒動」だと。ミーハーの悲しいサダメ、つい読んでしまった。
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