2016年8月9日火曜日

ロバの耳通信「おにぎり」


おにぎりを食べる時、いつも思い出してしまう話。

ピカドン(原爆)のあと一旦稲佐山に避難した。

夕暮れも迫り、ぞろぞろと山を降りる人々のなかに、顔を煤だらけにした小学生を見つけた。
自分の身内にも同じ年頃の子供がいることから、持っていたおにぎりをあげるため声をかけた。

わき道にはいり、新聞紙のおにぎりを広げその子にあげたが、自分がたべはじめても中々食べようとしない。

わけを聞くと、「これから家に戻り、はぐれてしまった母、姉を探す。折角いただいたおにぎりだが、自分はまだ我慢が出来るから、ピカドンにやられているであろう母、姉に食べさせたい」と。

神はどこにいて、何を見ていたのだろうか。

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