2017年2月1日水曜日

ロバの耳通信「三千枚の金貨」「道頓堀川」

「私たちが好きだったこと」(宮本輝 98年 新潮文庫)を読んで以来、宮本輝がマイブームになってしまったようだ。

「三千枚の金貨」(10年 光文社)はあまり好みではない謎解きミステリーだったが、謎の核となっている芹沢由郎に気持ちが入り込んでしまった。文具会社のお偉いさんたちの、まるで人生そのものを語るようなゴルフ談義でページに物語が水増しされいて、その分味が薄くなってしまったが、三千枚の金貨の行方に、怪しげなケリをつけなかったことはよかった。

宮本の代表作のひとつ「道頓堀川」(81年 筑摩書房、読んだのは83年角川文庫版、続く新潮文庫版になって表紙デザインが好みではなくなったのが残念)まできて、気づいたのは読んだ3作とも、登場する女性がとても魅力的に描かれているということ。「私たちが・・」の不安神経症の柴田愛子と太っ腹美容師の荻野曜子、「三千枚の・・」ではバーのママの沙都、「道頓堀川」では主人公邦彦の周りに現れては消えてゆく多くの女性たち。それらの女性たちに会って話をしたり、妄想のなかでは情を交わしてみたい気がする。

しばらくは宮本輝を続けてみようと。「泥の河」「蛍川」が読みたいリストの上に来て、私を待っている、そんな気がしている。

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