2016年4月1日金曜日

ロバの耳通信「レヴェナント 甦りし者」「スポットライト 世紀のスクープ」

「レヴェナント 甦りし者」(05米)
ワタシの予想に反して、アカデミー賞をもらったと。見どころは自然。登場人物の全員が暗く、映像もずっと暗いまま。差別、親子の絆、憎しみ、自然の厳しさなどなど伝えたいことは沢山あるのだろうが、太目で仏頂面のディカプリオは「ギルバート・ブレイク」(93米)で見せた繊細さも、「タイタニック」(97米)の溌剌さも、「ディパーテッド」「ブラッド・ダイヤモンド」(06米)の男らしさもこのレヴェナントでは見せてくれなかった。ディカプリオを好きな理由は端正な顔立ちの中にある気の弱さやあきらめ、ときどき覗かせる傲慢さといった、人がみんな半分は持っている「陰」のためなのだが、今回は全部押しこめたまま。チカラ入りすぎじゃないのかな。

サバイバル映画ではインデアンの女が極地をさまよう・・みたいな映画があって、どうしても題名を思い出せないから紹介できないのが口惜しいが、そちらのほうがずっと良かった。

レヴェナントの原作は「蘇った亡霊:ある復讐の物語」(マイケル・パンク The Revenant: A Novel of Revenge)とある(wiki)。読みたいが邦訳がない。誰か翻訳してくれないかな。

「スポットライト 世紀のスクープ」(05米)
こっちは予想通りのアカデミー賞。蔓延したカトリック司祭の性的虐待(実話)を題材にしたボストングローブの記者たちの物語で、タブーを正面から描いた作品はアカデミー賞好みか。

主役級で出演のリーヴ・シュレイバー(ナオミ・ワッツのダンナ)が良かった。個性のあるマスクなのに「ラスト・デイズ・オン・マーズ」(03米)以来いい役に恵まれていないのが残念。マイケル・キートンはいつも通りいい演技だが、「バットマンシリーズ」の印象が強くバッドマンのイメージと重なってしまう。昨年のアカデミー賞など映画賞総なめの「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(14米)も元スーパーヒーローの役。悪役のほうが合いそうな顔をしていると、ワタシは思う。うん、悪役は好きだよ。

権力を持つものを新聞記者が追い詰めるという作品では「大統領の陰謀」(76米)、「スクープ 悪意の不在」(81米)、「ペリカン白書」(93米)などなど名作が多い。勧善懲悪が市井の人々の願いなのだから日本の新聞にももっと頑張ってもらいたいと思うこの頃。

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