2017年1月5日木曜日

ロバの耳通信 「右岸」

「右岸」(辻仁成 12年集英社文庫)

辻仁成の著作では「冷静と情熱のあいだ Blu」(99年角川書店)以来。「冷静と・・」は江國香織とのコラボでベストセラーになり映画化もされたが、イタリアを舞台にしたスカした舞台設定がハナについて小説も映画も好きになれなかったが、真新しい「右岸」が年の暮れの図書館で上下揃ってワタシを待ってくれていたような、そんな気がしたので思わず手に取ってしまった。結果は「当たり」。

近年は涙腺が緩くなってちょっと感動すると鼻がグスグスになってしまうのだが、祖父江九という超能力者の一生という荒唐無稽な物語ながらスピリチュアルな世界にすっかり感動してしまった。

主人公の周りの次々の死や、何かに生かされていると感じる主人公の思いに強く共感するところが多かったのは、自分もそういう歳になったせいなのかもしれない。「左岸」(江國香織 08年集英社)が祖父江九の幼馴染みの茉莉から書いた作品らしいので、これも読んでみたい。こうして読みたい本のリストがまた長くなっている・・。

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