「DUST 特別法第001条」(09年 山田悠介 幻冬舎文庫)
図書館の新刊の棚にあって今年のゴム印。新刊ではなかったのだが、好みの幻冬舎の真新しい本だったからちょっとワクワクしながら手にとって見返しの著者紹介をチェックしたら「リアル鬼ごっこ」(01年)の著者だと。「リアル・・」がテレビで見て面白かったから期待したのだが、うーん。
小説にはどんな奇想天外のストーリーでも読者を納得させるディテイルが欲しいと思う。ニートは500日の島流しの決まりがあり、島でのサバイバルと、島から帰ってきてての息子探しがストーリー。はやりのサバイバルゲームに無理やり落ちを付けようとしても工夫がないと面白くはない。食うや食わずの少女に子供を産ませたり、19年後の復讐劇やら、題材は斬新で社会性もあり、面白いのだからもっと書きようがなかったのかと残念。20余年の物語が押し込められた500ページに付き合わされた読者はどこにも、誰にも共感を得ることができず、切れの悪いラストで持って行くところのない不満を飲み込んだ。
あとがきを苫米地英人を書いているのだが、批判ではないと断りつつ苫米地流の勝手な解釈で、「世界の戦争と差別をなくす」という苫米地のメッセージをここで書きたいがために結局、著者に迎合している。なんてあとがきだ。幻冬舎文庫にも外れがあるということか、読んだ時間が無駄だったことが悔しい。
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