2018年11月24日土曜日

ロバの耳通信「ミッション:インポッシブル フォールアウト」「MEG ザ・モンスター」

「ミッション:インポッシブル フォールアウト」(18年 米)

ミッション:インポッシブルシリーズもこれだけ重ねると「ミッション」もさすがにマンネリ化してしまったか。封切りに合わせテレビCMが頻繁だったし、YouTubeの予告編は公式版やらファンサイト版とかもいくつもあって、映画を見た時のデジャブ感も半端ない。音楽のノリもいいし、ゼッタイに死なないヒーローだからハラハラはさせられても、小心なワタシにも安心して楽しめたnのはよかったけれど。

ワタシにとっての最大の見どころはイーサンの元妻ジュリア役のミシェル・モナハン。相変わらずいい感じ。キレイとも色っぽいとも違って、うまく説明できないのだが、まあカンタンに言えば好きなタイプ。優しい表情の中の哀しい眼(ほんのちょっと斜視)がいいとしかいいようがない。最初に見たのが「ボーン・スプレマシー」(04年)ではチョイ役だったが一目惚れ、「ゴーン・ベイビー・ゴーン」(07年)で助演女優賞を総ナメにしたタフで優しい女探偵役も忘れられない。ミッション:インポッシブルシリーズでは一作目の「M:I:III」(06年)のジュリアは若くて(といっても当時30歳)息をのむほど美しい。「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」(11年)にも出ていて、少しづつ年を取り、現在42歳か。うーん、いいなー。

「MEG ザ・モンスター」(18年 米中)

ポスターだけが、よくできていた。MEGは、古代にいた超巨大サメメガドロンの意味。マリアナ海溝の底にさらに別の深層があり、ここに住んでいた古代サメが深海探査船に依ってできた穴を通って海上に現れ、遊泳客を襲う。スピルバーグの「ジョーズ」(75年 米)を凌ぐ興行収入との情報があったのだが、実際は制作費とほぼ同額の宣伝費用をかけたと。
米中合作ということで中国の美人女優リー・ビンビンを迎えたが、表情のない顔でセリフも棒読み。ジェイソン・ステイサム=面白い映画という等式が頭の中にあった私には、いつか面白くなるだろうと期待していたが最後まで期待外れ。ステイサムに泳がせたり水中スクーターの運転をさせたりで007張りのアクションをさせたが、なんだかね、の違和感。こんな映画で頑張ってるステイサムが可哀そう。2018年の日本全国での各週末における興行成績1位になったことがある映画だと。うーん、聞かれれば「やめといたら」と。

2018年11月20日火曜日

ロバの耳通信「ザ・コンサルタント」「カンパニー・メン」

「ザ・コンサルタント」(16年 米)

このところ、前に見て面白かった映画を動画サイトで探し出して見ている。きっかけは、YouTubeの映画の予告編とかをダラ見していて、そうだこの映画面白かったからまた見よう、と。新作に私の好みの映画が少なくなっていることと、風邪をうつされるのと出かけるのが面倒で映画館に行かなくなったのもあるかも。
「ザ・コンサルタント」原題はThe Accountantつまり会計士。
貸借対照表を作成したり帳簿の誤りを直したりする専門職業で欧米では税理士の役割も兼ねる事が多い。オモテの顔は田舎の会計士、裏の顔は犯罪者の経理担当。兄弟は幼い時から厳しい父親に格闘技を仕込まれ、自閉症の兄は主人公の会計士に、弟はワル側の殺し屋に。このほかに財務省の役人やらロボット会社の社長やら個性的な役柄が出てくるが、優れた脚本のせいか全く混乱することなしに楽しめた。音楽もいい。自閉症の子役も取り澄ました表情の会計士、ベン・アフレックも魅力的だし、私のお気に入りのちょっと悪役顔のジョーン・バーンサル(米テレビ「Marbel」シリーズ(16年~)のパニッシャーや、ブラピ主演の「フューリー」(14年 米))や、クルーニーの「マイレージ・マイライフ」(09年 米)で助演女優賞ながら世界の各賞を総ナメにしたアナ・ケンドリックとか、こんな豪華な配役で利益が出たのかと心配になるくらい。<結果大当たりでぼろ儲けだと> うーん、良かった、また見よう。

「カンパニー・メン」(10年 米)
これも見るのが何回目の映画。リストラされたエリートたちが集まって事業を始めるというカンタンな筋書きながら、トミー・リー・ジョーンズ、ケビン・コスナー、ベン・アフレック、クリス・クーパーなど錚々たる配役。ハッピーエンドにしなければ、もっと骨っぽい映画にできたのにとつくづく思う。映画はエンターテインメント、まあ、いいか。失意のエリートを演じたベン・アフレックの妻役を演じたローズマリー・デウィット「シンデレラマン」(05年 米)ほか)が、夫がエリートのときは口うるさい鼻柱高妻だったのが家を失い、夫と子供たちが遊ぶ姿を見守る優しい妻とへ変身してゆく様がなんともよかった。

話題の新作の動画サイトへのアップロードを心待ちにしながらも、気に入った映画を何度も見て浸ろうとする自分がいる。要はワタシに残された時間が段々少なくなっているということだろう。

2018年11月15日木曜日

ロバの耳通信「魂のルフラン」

「魂のルフラン」(97 高橋洋子)

テレビのカラオケ番組を見ていて、鳥肌が立ってしまった。ガイジンがこの曲を歌っていて楽曲と透き通る声にマッチしていて、なんだこの歌はと。初めて聞いたのに、すっかりトリコになってしまった。そのあとwikiで調べたり、YouTubeでオリジナルやカバー曲を聞いて、ますます惚れ込んでしまった。
新劇場版エバンゲリオンというアニメの主題歌で高橋洋子が歌った曲だという。アニメには興味はないが、このエバンゲリオンの名前だけは知っていた。よく通った秋葉原のオタクショップにいつもポスターが貼ってあったから。ただ、この歌には聞き覚えがなかった。そのころ何をしていたのだろう。仕事以外のそのころのワタシの暮らしはどうだったのだろう。
オリジナルの高橋洋子の歌はもちろん良かった。渡辺江里子(阿佐ヶ谷姉妹)のカラオケも、声優ユニットRoseliaのカバーも、しょこたんの歌も良かった(しょこたんがこんなに歌がうまいとは知らなかった)。安室奈美恵にはスローテンポすぎた。アニメの綾波レイ Ver(林原めぐみ)は消え入りそうな声が良かった。

マイベストは中元すず香(SU-METAL/ BABYMETAL)かな。歌に入れ込んでしまって、音程が怪しくなってそれでもバックバンドに負けまいと、一生懸命歌っているのがいい。堪らないとはこういうことか。

2018年11月9日金曜日

ロバの耳通信「老乱」

「老乱」(16年 久坂部羊 朝日新聞出版)

「認知」のジジイとその家族の物語。ジジイと家族の両方の視点でストーリーが進む。最初に読んだカミさんはツケだとジジイに腹を立て、ワタシは壊れてゆくジジイを悲しいと。
ワタシには持病があって、近年は高血圧もある。先は長くないことはわかっているし、これまでの不摂生からよくここまで生きてきたとも思っているから、健康不安も「まあ、何で死んでもまあ、同じ」と開き直り、若いころほど「死ぬこと」が怖くはなくなっているが、この「認知」は怖い。自分がわからなくなってしまい、家族に大迷惑をかけるのが怖い。

この物語は、散々家族に迷惑をかけたジジイがまだらボケのまま静かに死ぬという「ハッピーエンド」で終わる。ジジイ本人も、厄介もののジジイがいなくなった家族もハッピー。ちょっと、キレイすぎていないか。

すべての人が「認知」になるわけでもないらしい。生まれつきの障害があったり、ガンや難病になったり、早死にしたり、長生きしたりは先祖も含め、誰かの不始末のツケなのだろうか。サイコロを振って、ソレを決めているのは誰なのだろう。

2018年11月4日日曜日

ロバの耳通信「イコライザー2」

「イコライザー2」(18年 米)

予告編がテレビやネットで繰り返され、ずっと見たいと思っていた。デンゼル・ワシントンは大好きだし、「イコライザー」(14年)も何度か見て、気分も盛り上がっていて、10月に封切りになってそろそろ映画館に行こうと思っていたら台風は来るし、寒暖差も気になって迷っていた。都市近郊に住んではいるが映画館に行くというのは、移動やら待ち時間やら、カミさん同行となるからその後の食事やら存外大行事なのである。


今日は寒くて、ずっと雨だったから動画サイトでこの映画がアップロードされていて小躍り。しかも字幕、デンゼル・ワシントンの低音の渋い声も楽しめた。自動字幕らしくておかしな日本語のところは結構あるが、原語は映画らしくスラングも少なくゆっくり目で十分楽しめた。
ストーリーは元CIAでタクシードライバーの主人公がワルモノをやっつける仕掛人(イコライザー)として活躍する冒険活劇。主人公はメッチャ強くて勧善懲悪のルールを外れることはないから安心して楽しめた。難はハリケーンの中の戦闘シーン。なぜ主人公が前に住んでいたところじゃないといけなかったかとか考えると、おかしなところもあったけれども面白かったからOK。繰り返された予告編では、主人公がサクっと悪党を懲らしめるところばかりだったが、映画はソレ以外のところがずっと、ずっと良かった。

2018年11月3日土曜日

ロバの耳通信「アメリカン・スナイパー」


「アメリカン・スナイパー」(15年 クリス・カイルほか 早川書房)は、映画「アメリカン・スナイパー」(14年 米)で主人公カイルが帰国後に元兵士ににテキサスの射撃場で殺される「前」までを描いている。文庫本約500ページは長い。イラク戦争で200人前後を射殺した、レジェント(伝説)と呼ばれるようになった米海軍特殊部隊SEALの兵士の自伝。ワタシには戦争経験はおろか訓練の経験もないから、キツイ、タイヘンと繰り返し時には誇らしげに語られる軍事訓練の描写は饒舌でもあり辟易。どうだ、こうやって奴らを殺したんだと追想し得意げに語られる戦闘シーンも、なんだか違和感を感じる。ああ、これもイラク戦争を戦ったアメリカ人の気持ちなんだなと。

クリント・イーストウッドの手による映画の方は、迫力のドンパチの戦闘シーンが続いたあとのラストに、帰国後のカイルと妻の暮らしが描かれ、突然のカイルが殺されたという短い字幕とそれに続くカイルの葬儀シーンで、これがヒーロー称賛の映画ではなく明らかに反戦映画だと知る。

スナイパーモノの小説や映画は多いが、小説ではスティーブンハンター「極大射程」(13年 扶桑社ミステリー)ほかベトナム戦争で活躍したアメリカ海兵隊退役軍人のスナイパーのボブ・リー・スワガーを主人公としたシリーズがいい。映画化「ザ・シューター/極大射程」(07年 米)もされている。
映画ならば断然ジュード・ロウがロシアの伝説のスナイパーのヴァシリ・ザイツェフを演じた「スターリングラード」(Enemy at the Gates 01年 米独英ほか)が最高。同じくロシアの女スナイパーのリュドミラ・パヴリチェンコの伝記映画「ロシアンスナイパー」(13年 ロシア)も地味だが良い作品。