新人女刑事如月塔子が活躍する警察小説。被害者をモルタルで固めるというちょっと見かけないスジ、捜査手順を細かく明かしながら犯人捜しの謎解き。題もなかなか凝っている。副題みたいな「警視庁云々」は余分。
最初の数ページから感じた違和感、読んでゆくうちにほかのミステリー小説、警察小説との違いに気付いた。主人公はもちろん如月塔子で容姿から性格まで「説明」される。すべてのセリフ、考えたこと、感じたこと、動きなどすべてが「説明」されながら物語が進む。読者は、小説を読むだけで如月塔子と一緒に事件の流れを掴み、犯人にたどり着く。
この小説、シリーズものとなり、また連続ドラマとなる原作の第一作だというから、主人公なり刑事たちの紹介がはいってくるのも多少やむをえないとしても、まあグダグダと「説明」多すぎ。
ミステリーなんてものは虫食いの穴だらけのストーリーを読むから面白いのだよ。虫食いの穴は想像の余地であり解き切れない矛盾なのだよ。名作といわれる警察小説の面白さは、組織のカベ、イヤガラセ、気に入らないヤツなど普通の組織ならどこにでもある不条理をさらに浮き立たせ、そのなかで手探りしながら刑事が犯人捜しに苦労するから面白いのだよ。捜査一課で二年にも満たない女刑事、どうも小柄でカワイイらしいがイッチョウマエに活躍するなんて。うーん、そこは許しても、「説明」だらけの「取扱い説明書風ミステリー小説」なんぞ読みたくないって。
「代償」(16年 井岡瞬 角川文庫)
幼なじみのワルの弁護を引き受けた弁護士の物語。実際の主人公はこのワルの方。井岡が作り上げたこのワルのために読者のワタシはイライラから抜け出ることができない。イライラはこのワルに対しての気持ちだけでなく、モヤモヤした筋立てにも。ん?真実を語ったのは骨壺に隠されていたマイクロカセットだって?うーん、作りすぎだよ、それは。辻褄合わせの小細工が目につく初見のこの作家との相性もあると思う。最後はパーっと、このワルを始末するか、ワルに頑張ってもらいワルを極めてほしかったのだが、うーん、この程度の始末のつけかたか、と欲求不満の炎は消えなかった。テレビドラマとしてシリーズされているらしいが、チェックしてステレオタイプの配役を見てこれは原作を超えられないと確信。筋も結末も知っているからイライラがつのるだけかな。だから、見ない。

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