2022年9月20日火曜日

ロバの耳通信「スウィングガールズ」「半次郎」

「スウィングガールズ」(04年 邦画)

元気をもらえる映画を紹介しよう。田舎の落ちこぼれ女子高生が「ジャズやるべ!」とビッグバンドを組んでジャズをやる。ラストシーンが「シング・シング・シング」のスゴイ演奏でコンサートをしめくくるのだが、「ムーンライト・セレナーデ」では、バラバラが残る演奏が、このラスト曲「シング・シング・シング」で勢いづくところがワタシのお気に入りで、いつも涙ぐんでしまう。

ワタシも学生時代にブラスバンド部に属していた時期があった。男子校なのに体育会系のような雰囲気もなく、自由に楽器を楽しんでいた。出入り自由の部室の裏はイチョウの林で、全面イチョウ葉の黄色に染まった林のベンチでよく練習したものだ。物まねのウマい部長が海の事故でなくなってからは、部員もひとりふたりと辞めてゆき、そのころはやり出した軽音楽やフォークに押されてブラスバンド部は休部となった。音のしなくなった部室の裏の、やっぱり黄色に染まった林のベンチに座ってよく本を読んだものだ。

「スウィングガールズ」の音合わせのシーンが始まるとワタシはそのメンバーの間に入り込み、一緒に「シング・シング・シング」の波に乗るのだ。


「半次郎」(10年 邦画)

俳優の榎木孝明が企画し自らが主演した中村半次郎(桐野利秋)の生涯を描いた映画。NHK大河ドラマを思わせる音楽と遠景の桜島で期待が膨らむ出だし。監督から配役まで榎木のお友達で固め(想像)、脚本も榎木がかなり手を入れたに違いない。まあ、映画人としてこれだけのスタッフ、役者を集めて作れたのだから良かったね、としかいいようがない。
半次郎を突き詰めて描けばよかったのに、(お友達に出演を頼んだ)幕末維新の志士たちにもスポットを当てたためにピンぼけ。繰り返すが、これだけのスタッフと役者を揃えたのに惜しい。腹立たしいほど、惜しい(!)。

中村半次郎については、多くの小説の題材や映画、テレビドラマとなっているが、「人斬り半次郎」(幕末編、賊将編 99年 池波正太郎 新潮文庫)を推したい。


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