「流転地球/さまよえる地球」(19年 中国)
太陽の爆発で地球の存在が危うくなり、地球ごと木星に何千年かけて移住するというスケールの大きなSF映画。なにより注目すべきは、この映画がハリウッド製じゃないこと。原作(ヒューゴー賞を受賞したSF作家ケン・リュウの小説)も制作も全~部中国。海外配信はNETFLIXだというから機を見るに敏だよね。おかげで、今年の2月に中国で大当たりしたばかりの映画をもうネット動画で見ることができる。<日本公開は未定だと。>
同類のSF映画は、「ディープ・インパクト」(98年)、「地球が静止する日」(08年)とか「アルマゲドン」(13年)などほとんどがハリウッド製なのは突出したVFX技術、つまりはハリウッド映画会社の優れたCGのせい。「流転地球/さまよえる地球」はニュージーランドを拠点としたVFX制作会社WETAが参加したというから、これからの中国映画が楽しみ。
こういう映画を日本で作ると、浪花節風に人情がらみだったり、イケメンやらアイドルを使って恋愛物語にし、で主題を逸脱して安っぽくなってしまうことが多いのだけれども、この「流転地球/さまよえる地球」では家族、親子、兄弟、友情で味付けしつつも、天候異変に陥ってきた地球の危機を回避するため世界の人々が力を合わせるという、まあ、キレイゴトにもとられかねない共存、共栄の軸をずらすことがなかったのがいい。前半、スジが見えなくて退屈したが、後半は盛り上がって手に汗もの。見直したぞ、中国映画。制作費も収入も中国史上最大規模のSF映画だと。なんだか、韓国がパクリそう。
「ハンターキラー潜航せよ」(18年 米)
ジェラルド・バトラー(「300」(07年))、ゲイリー・オールドマンをキャスティングしたが、この手の潜水艦映画はロバート・ミッチャム&クルト・ユルゲンスの「眼下の敵」(57年)、「Uボート」(81年)をはじめトム・クランシー原作、ショーン・コネリー主演の「レッド・オクトーバーを追え!」(90年)ほか名作といわれるものがたくさんで、それらを超えることができなかった様子。
日本公開が始まったばかりだが、米ソの衝突を想定した映画が米本国よりヒットするとも、あるいは若い人たちの歓迎を得られるとも思われないから4千万ドルという法外な製作費のモトをとるのは難しいだろう。とはいえ、上映時間2時間のかなりを閉鎖空間の息詰まる緊迫シーンの連続は面白かった。ストーリーはロシアの国防大臣が大統領を監禁し、戦争をおっぱじめようとしていることを知った米軍が特殊部隊をロシアに派遣しロシア大統領を救いだすと、まあ、ほとんどありえない話なのだが。 ロシア潜艦の船長役で出ていたのが大ファンのスウェーデン名優ミカエル・ニクヴィスト(「ミレニアム」3部作(09年 スウェーデン))。この作品が遺作となった。
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