アフリカの南端にあるという”行ったが最後、誰も戻ってこない富の谷”への旅行記。そこ
は、ウォーカロンという人工細胞で作られた生命体が自活している谷だった。裏表紙のツリには”知性が提示する実存の物語”と、難しい書き方がされており、書評にも哲学やら暗喩やら、普通の小説じゃないような書き方をされていたが、ワタシには幼い頃から親しんできたSFや冒険物語のワクワクの面白さで、児童文学の懐かしささえ感じて楽しく読んだ。
森博嗣の代表作が「すべてがFになる」(96年 講談社文庫)だと、いつか読んでもいいかな。
「鉄のライオン」(11年 重松清 光文社文庫)

81年、田舎町から東京にきた”僕”の青春物語は、ちょうどその10年前にさらにずっと田舎から出てきて横浜に住んだワタシの青春時代に重なる。”僕”は大学生で女友達がいて酒場に通い、自由な暮らし。ワタシは社会人一年生で、工場と独身寮の往復に疲れて果てていたけれど、いまから思えば”僕”と同じく、ひとりを楽しんでいたのかもしれない。「鉄のライオン」で遠くなった青春時代を思い出し、甘酸っぱさを反芻。重松の本って、そうやって懐かしんで読むのがいい。
「ビット・トレーダー」(10年 樹林伸 幻冬舎)

少なくともワタシは、小説の中でなら人の不幸を思い切り楽しみたいほう。だから、デイトレードで大負けし、車も家も女も手放し、家族との関係もズタズタに、というエンディングにしてほしかった。ヒトのうまくいった金儲けの話なんか、けったくそ悪いだけ。
樹林伸は初めての作家だったけれど、文章はうまいしエンターテインメント要素もいっぱいなストーリー展開も申し分ない。もともとはなどメガヒット漫画の原作者だと。そうか、そうか別の作品もぜひ読んでみたい。
「金田一少年の事件簿」
ポルシェやキャバクラを堪能できた後に、見下すようにします。
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