「ミッドウェイ」(19年 米)
新作映画のテレビCMや雑誌の紹介を見るのは楽しい。本作も、結構いい評価が書かれていたので楽しみにしていたのだが。この秋に日本公開だそうだが、直感的にダメだろうね。CGだけじゃお客呼べないし、日本負けちゃうし、豊川悦司、浅野忠信、國村隼のキャスティングじゃね。
なにより辛いのが、この映画、何を伝えたいのかわからないこと。たぶん、情報戦で圧倒的な日本海軍を破ったということを言いたかったのだろうとは思うが、とにかく脚本にメリハリがないからダレた。
同名の映画(76年 米)はアメリカ建国200周年を記念映画でチャールトン・ヘストン、ヘンリー・フォンダ、グレン・フォードvs三船敏郎と、これ以上ないキャスティング。今回、あらためて見て、稚拙な模型による戦闘シーンに笑ってしまったが。CGがない代わりに、モノクロの記録フィルムを挿入するなどで昔、見た時の胸ワクワク感が十分よみがえって、また楽しめた。なにより、豪華配役の迫力ある演技が良かった。
「ボーダー 二つの世界」(18年 スウェーデン)原題:Gräns
映画紹介ではファンタジーとあったが、ちょっと違っていた。
スウェーデンの港で税関職員として働くティーナには、違法物を嗅ぎ分けることができる特殊能力があり、重宝されていた。嗅ぎ分けられるのは未成年が持っていた大量の酒、危険薬物、携帯に隠した児童ポルノのメモリーカードとか。
ティーナの悩みはほかの人たちと容姿がかなり違う、あからさまに言えば「醜い」こと。そのせいで、幼い頃からイジメに遭ったりで、現在も森の一軒家でブリーダの男と、ひとりで暮らすのがイヤというだけで一緒に暮らしている。
この映画のオチは、実はティーナが”トロール”ー北欧にいると言われている伝説の妖精だったということ。妖精というとティンカーベルのような可愛いイメージが先行しているが、”トロール”は、乱暴、醜い、低知能などの悪いイメージが強い。醜いティーナに近づいてきた”虫を食べる男”ヴォーレも実はトロールで、人間の赤ちゃんを攫っては売り飛ばし、自分が生んだ醜いトロールの赤ちゃんを押し付けている。ティーナが男でヴォーレが女だったとか、なんとも、とんでもないストーリーなのだが、”トロール”を、可愛くない子や障がい者に置き換えて考えれば、彼らの孤独と疎外感を身近なものとして重く感じることができる。
ラストシーン。行方をくらましたヴォーレから木箱で送られてきたトロールの赤ちゃんを抱きあげたときのティーナがこの映画で初めて見せた微笑みが、唯一の救い。
原作は「ぼくのエリ 200歳の少女」(08年 スウェーデン)、「モールス」(10年 同)のヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト、これらも忘れられない秀作。映画を見なければ、出会えなかった作家だと思う。
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