「ラース・オブ・マン」(21年 米)原題:Wrath of Man
怒れる男と訳すればいいのだろうか。英監督ガイ・リッチーとジェイソン・ステーサムの組み合わせだから派手なアクションを期待していたが、息子を傭兵あがりの強盗団に殺されたジェイソンが、湧き上がる怒りを抑えて犯人を探し、息子の復讐を果たすという、まあ単純なスジ。「ブルー・レクイエム」(03年 仏)のリメイクで脚本もガイ・リッチーだと。息子を殺されたギャングの親玉が、犯人探しのために経歴を偽り、現金輸送の警備会社で働くーなんて、スジの不自然さは否めないが、まあ、面白かったし、久しぶりの新作だから、いいか。
「アメリカン・サイコパス」(19年 米)原題:Chance Has No Empathy/American Psychopath
似た名前の映画、ムカシ見たクリスチャン・ベール主演の「アメリカン・サイコ」(00年 米)が期待外れだったし、口コミの評点も低かったので、”期待せず”見始めたのだが、なかなか良かった。
自分探しを続けている画家が、絵のモデルやその恋人など知り合いになった人々を次々に殺すという連続殺人犯を描いた静かな秀作(だと思う)。キーピックを使いアパートに侵入、ハサミやワイヤで殺人繰り返し、ペンダントなどの”戦利品”を蒐集するから、サイコパスと言えばそうなんだろうが、血なまぐさいシーンもほとんどなく、あんまり特別な感じがしなかったのは、主役の画家(ウィル・ロスハー)の抑えた、自然な演技のせいか。ムカシ海外で仕事をしたときに、趣味がジョギングと社会活動という静かなアメリカ人と一緒に仕事をして、何度も一緒にメシを食いに行ったりして親しくなったが。彼の静かなしゃべり方や仕草が、この映画のサイコキラーに感じが似ていて、今頃どうしているだろうかと、思い出したりした。