新作映画がすべて面白いわけではない。コロナのせいで全く映画館にゆけなくなったし、動画サイトで見られる新作も限られている。ワタシの好みもあるし、面白い映画に出会うことはもはや稀といってもいい。この「女神の見えざる手」はそうして出会った久しぶりの面白い映画だ。
「女神の見えざる手」(16年 米)原題:Miss Sloane
アメリカの銃規制法案で名前をあげようとしたロビイスト(そういう職業があるらしい)の女性と彼らを利用して利権を得ようとする政治家たちの物語。こういう社会派ドキュメント風映画には珍しく、銃は悪だとかいう理想論をぶちかまされ辟易させられることがなかったのが良かった。エリザベス・スローン(原題はココから)役のジェシカ・チャステインが良かった。弁が立つ、毒々しい口紅の美女。ゼンゼン好みじゃなく、惹かれることもなかったが、とにかく格好良かった。 サム・ウォーターストン、ジョン・リスゴーほか周りを固める政治家たちの配役もこれ以上ない芸達者たち。原作を読んで見たいと思い探しているがドキュメンタリーだから難しい気がする。この作品の強みは脚本(ジョナサン・ペレラ)だと思い、wikiを逆引きしてもこの作品しかでてこない。残念。
とにかく、近年「掘り出した」面白かった作品。どんでん返しの繰り返しを体験してなお、最初からもう一度見たいと思った作品。字幕版だから、ヘッドフォンつけて大音量でナマのセリフを楽しみながら夜中また見よう。
「野火」(14年 邦画)
敗戦記念日が近いせいなのだろうか、どこかでリバイバル上映中だと。コロナ騒ぎの最中じゃなくても映画館で見たい作品ではない。
フィリピン・レイテ島の敗残兵田村一等兵の彷徨を描いている。原作(大岡昇平)の一部を中学(多分)の教科書で見、触発されて本も読んだ記憶がある。同名の映画(59年 市川崑監督)も見た記憶があったが、本作ほど衝撃的ではなかった。
うん、この「衝撃的」は、いい意味ではない。本作(14年)は、血まみれの内蔵、傷口、湧き出すウジなどのグロ要素が強すぎ、原作や前作(59年)で終始つきまとう、飢餓、持って行き場のない不条理などからくる厭世感・厭戦感がなかったかな。リリー・フランキー、中村達也ほか、サブキャスティングが良かった。この作品で初めて知った森優作は最高。芸達者の配役のせいか主人公田村一等兵役の塚本晋也が霞んでしまったのが残念。グロのせいで、再見もごめんだ。
アメリカほど銃が似合う国は無い。映画の見過ぎでしょうか。
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