2021年8月4日水曜日

ロバの耳通信 「活きる」「ブリムストーン」主題は理不尽。

 「活(い)きる」(94年 中国)原題:活着

懐かしくて、また見てしまった。賭博好きの放蕩息子福貴(グォ・ヨウ)とその妻家珍(コン・リー)が文革前後の動乱の歴史のなかでたくましく生きてゆくというストーリー。約30年の夫婦の歴史を2時間で見せてくれ、最初にこの映画を見たときには、大変な時代に浮き沈みの激しい暮らしを見ながら「よく生きてきたな」と驚きと感動を憶えたものだ。こうやって落ち着いて見直した抒情詩のような夫婦の暮らしは、時代背景から歴史小説を読んでいるよう。理不尽の連続に、長く中国で公開されなかったのがわかる気がした。

なにより懐かしかったのがコン・リー(巩俐)。最初に見たのが図書館の視聴覚ブースで「紅いコーリャン」(87年  紅高粱)それ以来、すっかりコン・リーにはまり、ずいぶんビデオ屋さんのお世話になった。「紅いコーリャン」の時は二十歳を越えたばかりの頃だったが、無垢な少女のような面影にまいった。たくさんの映画に出演しているが、またというか何度も見たいと思っているのが「さらば、わが愛/覇王別姫」(93年)。

「ブリムストーン」(16年 オランダ、仏、英、米ほか)原題:Brimstone

原題は灼熱の業火とか避けられない運命とかいろんな意味があるらしいのだが、ワタシには結局意味不明。舞台はアメリカ西部劇の時代(らしい)。牧師による悪行、売春宿、近親相姦、暴力などなどどうしようもない男たちの悪行の連鎖にうんざり。こんな理不尽で脈絡のない映画なのにダコタ・ファニング、ガイ・ピアース、エミリア・ジョーンズほか錚々たる配役を揃えたのはすごいと思うが。娯楽でもミステリーでもない、強いて言えば恐怖映画か。いちばんの極悪が牧師だったというのが、なにかへのあてつけか。

2時間の残酷シーンの連続のあと、とってつけたような主人公の自死のエンディングで救済のつもりなのか。終わってからの後味の悪さがいつまでも消えなかった。

1 件のコメント:

  1. これも有名ですが、胡同のひまわりを勧めます。古典かと思っていたら2005年作とのことです。開発ラッシュだった北京オリンピックの前はそっくりでした。時が止まっているのは自分の方です。

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