2024年7月10日水曜日

ロバの耳通信「グレイハウンド」「イーオン・フラックス」「オールド・ガード」

「グレイハウンド」(20年 米)原題:Greyhound

第二次世界大戦中のアメリカ海軍の護送船団の旗艦の駆逐艦グレイハウンドとドイツ軍潜水Uボートの戦闘描いた戦争映画。C・S・フォレスターの小説「駆逐艦キーリング」をもとにトム・ハンクスが自ら脚本を書き、グレイハウンドの艦長役を演じた。艦長としての初めての商船団の護送任務に緊張するトム・ハンクスのシリアスな演技が光っていた。トム・ハンクスの映画でハズレたことがないが、この映画も彼の代表作になったのではないか。
駆逐艦と潜水艦の映画は、潜水艦側からの作品が多かったような気がするが、この「グレイハウンド」は駆逐艦が潜水艦とどう戦ったかの詳細が迫真の演技の中で紹介され、駆逐艦が主役というあまりなじみのない戦争映画として興味深いものになった。

wikiによればこの映画、今年のハリウッドの目玉作品として6月公開の予定だったが、コロナ感染拡大のため放映権を手放したソニー・ピクチャーズからアップルTV+が約7千万ドルで買い取り配信しているとあった。さらにコロナが長引けば、映画もダメになるのか。

雨の中、外にも出られず、コロナのせいでアーカイブとおもしろ動画の紹介ばかりの番組を見ながらカミさんと<最近のテレビが面白くなくなったね>と。テレビも同じ運命か。

「イーオン・フラックス」(05年 米)原題:Æon Flux

コミックが原作らしいが、スジが良くわからない。ポスターに惹かれて昔、DVDを見た記憶がある。どんなスジだったか思い出せず、今回、ネットでまた見たが、今回もスジが全くわからない。

ウイルスにより、人類のほとんどが死滅。残された人々が、外界と遮断されたユートピアを作るが、そこにも主流派と反主流派がいて云々。SF物語でももうすこし論理的じゃないと、頭がついて行かない。主演のシャーリーズ・セロンがスーパーヒロインとなって活躍。
シャーリーズ・セロンが好きじゃないワタシには何も残らない退屈映画。また、見るんじゃなかった。

「オールド・ガード」(20年 米)原題:The Old Guard

新作だし、Netflix期待で見たシャーリーズ・セロン主演のこれもやっぱりコミック(グラフィックノベル)の映画化。死なない傭兵たちが正義のために戦うという、なんとも子供じみたスジ。死なない傭兵たちを捕まえて不死の特効薬を作ろうとする製薬会社のCEOが悪役。傭兵隊長のシャーリーズ・セロンがいつものごとくムダに動いて大活躍。うーん、やっぱりつまらない。
主役以外のキャスティングはいいのに、惜しい。原作者のグレッグ・ルッカ(「守護者」(13年 講談社文庫)ほか)は大好きな作家なのに。

もう、女優辞めなよシャーリーズ・セロン。

2024年6月30日日曜日

ロバの耳通信「復活」「アメリカン・バーニング」

「復活」(16年 米)原題:Risen

キリストを処刑した側のローマ軍の100人隊長(ジョゼフ・ファインズ)が見たイエス・キリスト(クリフ・カーティス)の復活。自分が磔にしたイエスの死体が消え、イエスと語り、イエスが起こした奇跡を目撃し変わってゆく。この手の映画は結構見てきたが、視点が変わっただけ。作品としても特記するところもないが、キャスティングは良かった。うん、ジョゼフ・ファインズとクリフ・カーティスのキャスティングは逆のほうがもっと良かったかも。考え込むところなど、ジョゼフ・ファインズのほうがずっとイエスらしい。

コレより少し前に見た「サン・オブ・ゴッド」(15年 米)では、静かに語るキリストから映画を見てる間、そのあとにもキリストの優しさが伝わってきて安らかな気持ちになれたが、視点を変えたこの「復活」ではキリストについての<何か、得心できるもの>が伝わってくることがなかったのが残念。特に、レプラに苦しむ男を奇跡で治すところなど、そこまでやらなくてもと。目の当たりに見せられる奇跡なんか、白々しくなってしまう。深淵なことをアカラサマにしたとたん怪しげに映る。信仰を題材にした映画のつもりで見ていたらそうではなかったようだ。

「アメリカン・バーニング」(16年 米・香港)原題:American Pastoral

高校ラグビーの元スター選手(ユアン・マクレガー )と高校のマドンナでミス・アメリカ
の州代表(ジェニファー・コネリー )のアメリカン・ドリームを絵にかいたようなカップル。カトリックとユダヤの宗教の壁を乗り越え結婚したが娘(ダコタ・ファニング)が成長するにつれて夫婦がうまくゆかなくなる。まずは娘の吃音、反戦運動、カルト宗教に凝るなど夫婦の頭痛のタネは尽きない。

出口の見えない暗い映画。これでもか、これでもかと不幸の連続。不幸の大きさは違っても、ジンセイこんなことの繰り返しかもしれないが、映画でこれをやられると救いがないではないか。それにしても三役のキャスティングが素晴らしい。映画化決定から撮影開始まで長い時間を要し、キャスティングも相当もめたというが、映画を見たらほかの組み合わせが考えられないの出来。ただ、辛くて2度は見たくない映画。

ユアン・マクレガーの初監督映画。おいおい、初なのになんでこんな暗い作品を選んだんだと。

原題のPastoralは田園詩の意味、田舎とでも訳したほうがいいのだろう、つまりはアメリカの田舎で起きた出来事ーみたいな意味か。原作はフィリップ・ロスの同名の原作だが、wikiによれば映画は原作とかなり違うらしい。

2024年6月20日木曜日

ロバの耳通信「SPOOKSスプークスMI-5」「スノーホワイト-氷の王国ー」

「SPOOKSスプークスMI-5」(15年 英)原題:MI-5

時間を忘れるほど夢中で見た。イギリスのスパイものが面白いのは伝統か。MI-5英国情報部内にテロリストの内通者がいることを知った情報部員が元部下と共に内通者を突き止めるというスジ。ラストのどんでん返しで、内通者がCIAと結託することでMI-5長官の席を狙う上級職員だったことが明かされるが、それまでは誰がワルモノかわからず、派手さのないアクションとジワジワと真実に迫る英国流の謎解きを楽しめた。

主人公の血の気の多い元諜報部員役にキット・ハリント(「ゲーム・オブ・スローンズ」(米テレビドラマ))、老練情報部員役のピーター・ファースが秀逸のスパイらしさ。さらにアメリカ生まれの英女優ジェニファー・イーリーがいつもの”冷たい表情の上級奥様風”で幹部役で出演していて、楽しめた。普段の英国ではキレイな女性なんかついぞみることはないのにこの映画の配役は皆、揃って美人。皆、女優だから当たり前といえばそうなのだが、現実との乖離が大きいとかなりの違和感。

英国で大ヒットのBBC製テレビシリーズ「MI-5 英国機密諜報部」をもとに作られた映画だというから、オリジナルの動画サイトへのアップロードを待つことにしよう。

「スノーホワイト-氷の王国ー」(12年 米)原題: Snow White & the Huntsman

原作はグリム童話の「白雪姫」「本当は怖いグリム童話」みたいな本かマンガを読んだ「トワイライト」シリーズのベラ役(08年~))ってゼッタイオカシイ。
記憶があるが、この作品も十分残酷で怖い。主人公の白雪姫役にクリステン・スチュワート(
ダークファンタジーだし最後は継母の心臓に短剣を刺す役だから純潔無垢ばかりの美しいお姫さまというわけにはいかないだろうけど、ゼンゼンキレイじゃない。ディズニー映画の白雪姫のつもりで見ていた方も問題なんだろうけど、同じ年に公開された「白雪姫と鏡の女王」(米)の白雪姫役の英女優リリー・コリンズの輝くほどの美しさとはえらい違いだ。
継母役のシャーリーズ・セロン、この俳優、あまり好きじゃないのだけども、この映画では実にイキイキしていて気に入った。こういう本当は魔女で邪悪な継母役がピッタリ。この役でティーン・チョイス・アワード映画部門「ヒステリー賞」なんて賞を獲った(wiki)とあったけど、わかる気がする。

2024年6月10日月曜日

ロバの耳通信「デス・ウィッシュ」「孤独なふりした世界で」

「デス・ウィッシュ」(18年 米)原題:Death Wish

チャールズ・ブロンソン主演の「狼よさらば」(Death Wish 74年 米)のリメイクで主演がブルース・ウイルス。前作では、小心のブロンソンが妻子が凶悪犯罪に巻き込まれてから、復讐心から銃を手にしタフガイに変化してゆく様に共感と喝采を送ったが、本作のブルース・ウイルスは外科医の設定ながら、最初から強面。犯罪で妻を失い、娘が瀕死となった父親が犯罪者を憎み狼に変わって行くーという一番いいところがまるで伝わってこない。
不死身(「ダイ・ハード」)のブルース・ウイルスを主演に持ってきたのはミスキャストだと思うし、ブルース・ウイルスはもはやパクリみたいなリメーク作品に出るほど窮してるのかと幻滅。犯罪が減っていないアメリカ大都市の社会問題提起なのか、自警団推奨が主題なのか、ただのアクション映画なのか。どっちにしても薦められない映画。

「孤独なふりした世界で」(19年 米)原題:I Think We’re Alone Now

疫病か何かで町の人が死に絶え、唯一人生き残り、死者を埋葬するだけの生活を送っていた小人症の男(ピーター・ディンクレイジー「ゲーム・オブ・スローンズ」(09年~ 米HBO)ほか)。薄暗い図書館で暮らす彼のもとに現れたひとりの少女。孤独を慰め合いながら一緒に暮らすうちに、少女の両親と言う男女が現れ連れ帰ってしまう。
ほぼ照明がなくなった町、ふたりになってからもセリフは殆どないから、押し包むような孤独感は半端ない。

大好き終末世界サバイバル映画。無人のスーパーで値段も見ないでカートにポンポンと食糧などを放り込むなんて、結構あこがれていいて、まあ、多少のお金ならあるし、近所のスーパーで一度やってみたいとも思うのだが、タダでもらうのとお金を払うのは気分がちがうだろうな、と。

2024年5月30日木曜日

ロバの耳通信「ミッション・ワイルド」「マイ・ブラザー 哀しみの銃弾」

「ミッション・ワイルド」(14年 米仏合作)原題:The Homesman)

トミー・リー・ジョーンズの主演・脚本・監督でリュック・ベッソン製作、面白くないワケがないのだが、なぜか日本では劇場未公開らしい。

Homesmanとは、開拓地で暮らせなくなった移住者を出身地に連れ帰る仕事を請け負う人。こういう救済システムみたいなものは実際あったらしい。教会が中心になってたようだ。
時代は南北戦争直後の西部。この映画では、開拓地の暮らしの中で精神を病んだ3人の女を馬車で約400マイル離れた教会に届けるというこの割の合わない仕事を引き受けた未婚の女(この時代ではオールドミスーヒラリー・スワンク)と、この女に雇われた流れ者(トミー・リー・ジョーンズ)が主人公。4人の女とひとりの男が哀しい。誰にも愛されないこの未婚の女の孤独は若い頃からモテることのなかった私には多少わかる。だが、3人の女の不幸はさらに酷い。ちょっと具体的にはココに書けないほど酷い目に遭って狂ってしまっている。演技とはいえ、女の狂ったのは怖い。

面白い役だったのがメリル・ストリーブ演じた、受け入れ先の牧師の妻。ひとことで言えばノー天気。この孤独と不幸続きの2時間の映画の終わりでつくり笑顔を見せられてもね、ゾッとしてメリル・ストリーブがより嫌いになった。

「マイ・ブラザー 哀しみの銃弾」(13年 米仏合作)原題:Blood Ties

主演が英男優のクライヴ・オーウェンでなんだかヨーロッパの匂いがすると思って見終わってからチェックしたら、米仏合作、しかもフランスの名優ギヨーム・カネ主演の「Les Liens du sang」(13年 仏)のリメイクだと。どうりでやたらお涙頂戴の情話風だし、配役、特に米仏混成女優たちのチグハグさが鼻につくなと。

物語は7年の服役後出所した男が、身内や前妻にも歓迎されず、再び悪の世界に身を落としてしまう、と、まあよくあるハナシ。
クライム映画はキライじゃないが、どうもこうウジウジしたフランス浪花節はどうもね。2時間半も待たされての終わり方もスカッとしていないし。

2024年5月15日水曜日

ロバの耳通信「INFINI/インフィニ」「アンロック/陰謀のコード」

「INFINI/インフィニ」(15年 オーストラリア)原題:Infini

原題は惑星の名前。そこにはエネルギー源となる鉱石があり割りのいい採掘の仕事があるが、行くにはスリップストリームという位相空間移動じゃないといけない。空間移動は人によっては狂ったり死んだりすることも。

鉱石が人間を狂わせる生物に汚染されていることが分かり、鉱石を自動転送するシステムを停止し、現地の技術者を連れ戻すための部隊をイニフィニに派遣することに。空間移動とか、鉱石そのものが生命体で、派遣されてきた人々の細胞を吸収することで成長するとか、SF映画らしい突拍子もないスジだったし、途中ダラけたが、まあ面白かった。


同類の「エイリアン」シリーズ(79年~ 米)みたいに、最後に続編を示唆するラストがあるかと期待したのだが、なーんにもなし。残念。


「アンロック/陰謀のコード」(17年 英・米合作)原題: Unlock

CIAとMI6、イスラムテロ集団、三つ巴のスパイアクション映画。スジはどうでもいいがキャスティングがすごい。映画は「完落ち」の意味。監督はマイケル・アプテッド、出演のノオミ・ラパスは好きな女優じゃないから(個人的に置いておいて)マイケル・ダグラスとかジョン・マルコビッチとか重鎮をいい役に配置。オーランド・ブルームなんぞは役もはっきりしないチョイ役扱い。これだけ役者を揃えると、製作陣も脚本も製作費も半端じゃいけないのだろう、おかげでスピード感のある面白い映画になった。

きわめて個人的な感想を書くが、ノオミ・ラパスのキシャな体と表情のなさは、スパイアクションの主役じゃない。

2024年5月5日日曜日

ロバの耳通信「テイキング・オブ・デボラ・ローガン」「ファースト・キル」

 「テイキング・オブ・デボラ・ローガン」(14年 米)原題:The Taking of Deborah Logan

アルツハイマーだとみられた老女が実は悪魔憑きだったというとんでもないハナシ。

事前チェックなしで見始めたオープニングではアルツハイマー病の記録フィルムを使っているとのテロップが流れ、「X-Men」シリーズ(00年~ 米)、「ボヘミアン・ラプソディ」(18年 米)など多くの有名映画の監督ブライアン・シンガーの作品だったし、テレビシリーズ「Dr.HOUSE」(04年~ 米)で、疾病を解説してくれていたので、アルツハイマー患者を扱った、結構ハードルも高いドキュメンタリー作品だと思っていた。事実、映画のスタート部分は、アルツハイマー症状で老女が奇行を繰り返し、明日は我が身の認識もあったのでそのつもりで見ていたのに、実はとんでもないオカルト・ホラー映画だった。

アルツハイマー病を悪魔憑きと結びつけるなんて、どうかと思うよ。この映画、ワタシが大嫌いなヘビがたくさん。それだけでも腰が引けてしまっているのに。とにかく、誰にでも訪れる老いと悪魔憑きを一緒にする感覚は許せん。


「ファースト・キル」(17年 米)原題:First Kill

学校でイジメに遭いメゲてしまった幼い息子と、故郷の田舎町で一緒に狩りをすることで親子の絆を修復しようとする若い父親のヤング・エグゼクティブ(ヘイデン・クリステンセン)の物語。ヘイデン・クリステンセンは「スターウォーズ」シリーズ(02年~ 米)でアナキン・スカイウォーカーを演じ、散々こきおろされた軟弱男。極悪な町の保安官を演じた町の保安官役のブルース・ウィリスとは存在感が違う。ストーリーは、混み入っていて説明ももどかしいが、結局軟弱男が敵をやっつけ、息子との絆を取り戻すというハッピーエンドなんだけけれど、いまいち共感できないのはなぜだろう。ライフルを撃たせたり、父親の強い姿を見せられても、帰ればイジメは続くだろうし、父親は相変わらず家庭を顧みないだろうし。父と息子へのこだわりをアピールしたかった割りには父親の強さが見えてこないし、これだけ母親の存在感のないアメリカ映画もは珍しい。

本国アメリカで公開されていないのは何故だろうか。やっぱり、面白くなかったんだろうな。