2017年3月14日火曜日

ロバの耳通信「フォーエバーランド」

「フォーエバーランド」(01年カナダ)

バンクーバーに住む嚢胞性線維症(CF症)という難病の青年が、先に亡くなった同郷の闘病仲間の散骨のために、遺言で指定されたメキシコの聖地デル・ソルを訪れる。

奇跡求めて2000マイルという副題がついていたので、もしかしたら旅の終点で病気の消失とか、奇跡がおきるのかとも思っていたのだけれども、そんな安っぽい終わり方ではなかった。青年は死んでしまったけれど、ハッピーエンドだったので少し救われた。

たくさんの抗生物質や吸入器で体調を維持していても30歳くらいまでに、「ゆっくり」と、しかし、確実に死ぬ病気らしい。気管支疾病を持つ私は、これほどの難病ではないけれども、時々呼吸器がくるしくなり、この「ゆっくり」死ぬというのが、実感としてわかる。

後半のメキシコの山岳地帯を歩くシーンに心惹かれた。

私は砂を踏む感触が好きで、よく底の硬い革靴で海岸を歩いた。踏みしめた乾いた砂は頼りなく足の下で崩れてゆくが、埋まってしまうわけではなく、靴底に接する砂が平(たいら)に私の体重を受け止めてくれるところに、なにか地球との一体感のようなものを感じたものだが、気が付いて見ればずいぶんそういう経験から遠ざかっている。

メキシコには行けないから、すこし、暖かくなったら、海に行こう。一番お気に入りの革靴で。

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