「スターリングラード 史上最大の市街戦」(13年 露)
先の大戦の独ソ戦で最大の戦場となったスターリングラードの戦いを題材にして、小さな町で対峙するドイツ軍とロシア軍の戦いの中で兵士たちと引き裂かれる男女の物語を大音響の爆音、銃撃音と硝煙の中にも淡々と、また愛情深く描いている。登場人物のほとんどが死んでしまうから、ヒーローは出てこず、ロシアの実在狙撃兵をヒーロ仕立てで描いた「スターリングラード」(01年 米英ほか 狙撃兵ザイチェフをジュード・ローが好演し日本でも好評だった)とはえらい違いだが、ずっと味わい深かった。悲惨な戦争を描いた映画で、味わい深いもないものなのだが、ドイツ軍の大尉役のトーマス・クレッチマン(「U-571」00年 米、「戦場のピアニスト」02年 仏独ほか) がいつもらしくなく、よれよれの制服姿で好演しているわ、ロシア側の兵士たちがピヨトル・フヨドロフほか一流どころを揃えているわで、暗いステージでスポットを当てられる舞台俳優のように役者の個性が光る、ロシア映画らしい名作だった。
ロシア映画といえば、「ロシアン・スナーパー」原題はБитва за Севастопольセヴァストポリの戦い(15年 露)が良かった。実在の露狙撃兵リュドミラ・パヴリチェンコを演じた露女優ユリア・ペレシルドの考え込んだ時の眉間に寄るタテ皺と斜視気味の表情が忘れられない。
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