「パトリオット・デイ」(17年 米)
2013年のボストンマラソン爆発テロの犯人逮捕までを、警備担当のトミー巡査部長(マーク・ウォールバーグ)を中心に描いている。題名は例年ボストン・マラソン開催されるパトリオット・デイ(愛国者の日、米国の休日ではなく北部のいくつかの州の休日)にちなんでいる。実際にあった事件のせいか記録映像が多く使われ、物語も時間の流れにに沿って展開されるため、自分が映画の中にいるような緊張感がある。最も印象深かったシーンは、爆破テロのあと自宅に戻ったトミー巡査部長を迎えた妻キャロル( ミシェル・モナハン)の安心と心配の入り混じった表情が良かった。
マーク・ウォールバーグはどちらかといえばイケイケ男優で、微妙な表情の変化などは望むべきもないが、ミシェル・モナハンは「ミッション・インポッシブル」シリーズ(M:i:III 06年~ 米)で、トム・クルーズ演じるイーサン・ホークの妻を、「ゴーン・ベイビー・ゴーン」(07年 米)では探偵を。深く、深い海の底のような彼女の眼には「いつも」どきりとさせられる。
テロの犯人のヒジャブを被った妻を「理解しがたい」と切って捨て、MITに通う金持ち中国人留学生にメルセデスを持たせたり、亡くなっり足を失った方々の映像を映画の末尾で流すなど、愛国心を掻き立てる国策映画にしてしまったのは一体誰だろう。
2017年6月26日月曜日
2017年6月18日日曜日
ロバの耳通信「ラブ・レター」
「ラブ・レター」(97年 浅田次郎 集英社「鉄道員(ぽっぽや)」)
在留資格を得るために吾郎と偽装結婚し、病死した中国人売春婦の白蘭を千葉の千倉に”迎え”にゆく物語。白欄が吾郎にあてたの手紙ー「吾郎さん、吾郎さん・・」とたどたどしい日本語で呼びかける手紙を読んだだけで泣けた。
映画「ラブ・レター」(98年 邦画)では、吾郎役をやった中井貴一をこの映画で好きになった。映画で泣けて、そのあとずっとあとで読んだ原作本でまた泣いた。YouTube版のシロート朗読でも涙が出た。深夜ラジオで菅野美穂が朗読したものがあるらしい。探しているが見つからない。菅野美穂の声で読まれる白蘭の手紙を想像するだけで鼻水が出そうになる。
「鉄道員(ぽっぽや)」は、最も好きな映画の一つ。主人公の乙松役の高倉健はいつもの仏頂面だから変わり映えしないが、乙松の妻大竹しのぶ、女子高生(乙松の死んだ娘雪子役)を演じた広末涼子、酔っ払い炭鉱夫役の志村けんなど、これ以上ない配役。うん、この時の広末は18歳のはずだがずっと幼く見えとてもかわいかった。これも、原作よりも映画が先だったが、どちらも涙は出なかった。
在留資格を得るために吾郎と偽装結婚し、病死した中国人売春婦の白蘭を千葉の千倉に”迎え”にゆく物語。白欄が吾郎にあてたの手紙ー「吾郎さん、吾郎さん・・」とたどたどしい日本語で呼びかける手紙を読んだだけで泣けた。
映画「ラブ・レター」(98年 邦画)では、吾郎役をやった中井貴一をこの映画で好きになった。映画で泣けて、そのあとずっとあとで読んだ原作本でまた泣いた。YouTube版のシロート朗読でも涙が出た。深夜ラジオで菅野美穂が朗読したものがあるらしい。探しているが見つからない。菅野美穂の声で読まれる白蘭の手紙を想像するだけで鼻水が出そうになる。
「鉄道員(ぽっぽや)」は、最も好きな映画の一つ。主人公の乙松役の高倉健はいつもの仏頂面だから変わり映えしないが、乙松の妻大竹しのぶ、女子高生(乙松の死んだ娘雪子役)を演じた広末涼子、酔っ払い炭鉱夫役の志村けんなど、これ以上ない配役。うん、この時の広末は18歳のはずだがずっと幼く見えとてもかわいかった。これも、原作よりも映画が先だったが、どちらも涙は出なかった。
2017年6月11日日曜日
ロバの耳通信「抱擁」
「抱擁」(02年 米)
普段はほとんど見ないような映画でも、DVDのボックスの小さな写真とあらすじ紹介から、そのDVDをみることになってしまった「抱擁 possession 」(同名の邦画もあり、possesion も別作品あり)。出ている二人の女優が気になった。ジェニファー・イーリー Jennifer Ehle(これでイーリーと読むらしい)とグウィネス・パルトローGwyneth Paltrow (変な名前)というワタシの好みから言えば対極の女優。イーリーは「高慢と偏見」(95年 英テレビドラマ。同名でローレンス・オリビエ主演 40年米ほか、原作は英国の有名な小説なので映画も多い)にも出ていた英国風の米国女優。母親は英国の女優。この映画に限ってのことかもしれないが、女性が年を重ねて魅力的になってくるということはこういうことなのだと、思わざるをえない。パルトローはどの映画にでても同じ顔をしていてつまらない。若いのか年なのか、最も敬遠したくなるタイプで、同じタイプがミア・ファーロー、上手に年をとれない女性はとにかく好きになれない。
作品はアメリカ映画とは思えないほど英国的。19世紀の英国の詩人とその愛人(イーリー)の逃避行を古い手紙から、歴史家が検証するというのがこの映画のスジだから英国の雰囲気もやむをえない。タイムマシンがあれば行って見たい時代。わが家のテレビのせいか、19世紀の英国やフランスは黄砂がかかったように、フォーカスの甘いシーンが続く。偏ったアングルだけなのでカメラマンに惚れられて撮影されたに違いない、夢の中のようにぼんやりした画面の奥からこちらを向いて話しているイーリーは、やはり夢の中のオンナのようにナマメカシイ。声高に喋りまくる中国人や猫耳をつけたメイドだらけの秋葉原にはちょっといないタイプ。
普段はほとんど見ないような映画でも、DVDのボックスの小さな写真とあらすじ紹介から、そのDVDをみることになってしまった「抱擁 possession 」(同名の邦画もあり、possesion も別作品あり)。出ている二人の女優が気になった。ジェニファー・イーリー Jennifer Ehle(これでイーリーと読むらしい)とグウィネス・パルトローGwyneth Paltrow (変な名前)というワタシの好みから言えば対極の女優。イーリーは「高慢と偏見」(95年 英テレビドラマ。同名でローレンス・オリビエ主演 40年米ほか、原作は英国の有名な小説なので映画も多い)にも出ていた英国風の米国女優。母親は英国の女優。この映画に限ってのことかもしれないが、女性が年を重ねて魅力的になってくるということはこういうことなのだと、思わざるをえない。パルトローはどの映画にでても同じ顔をしていてつまらない。若いのか年なのか、最も敬遠したくなるタイプで、同じタイプがミア・ファーロー、上手に年をとれない女性はとにかく好きになれない。
作品はアメリカ映画とは思えないほど英国的。19世紀の英国の詩人とその愛人(イーリー)の逃避行を古い手紙から、歴史家が検証するというのがこの映画のスジだから英国の雰囲気もやむをえない。タイムマシンがあれば行って見たい時代。わが家のテレビのせいか、19世紀の英国やフランスは黄砂がかかったように、フォーカスの甘いシーンが続く。偏ったアングルだけなのでカメラマンに惚れられて撮影されたに違いない、夢の中のようにぼんやりした画面の奥からこちらを向いて話しているイーリーは、やはり夢の中のオンナのようにナマメカシイ。声高に喋りまくる中国人や猫耳をつけたメイドだらけの秋葉原にはちょっといないタイプ。
2017年6月10日土曜日
ロバの耳通信「すべてはその朝始まった」
「すべてはその朝始まった」(05年 米)
幸せな家庭生活を送っている会社員が通勤電車で知り合った人妻とアヤシイ関係になり、犯罪の渦中の人となるというまあ、ミステリー映画。映画そのものは出だしのありそうというか、あったらウレシイけど絶対にないだろうという設定で「その朝始まる」のだが、ジェニファー・アニストンが最大の魅力。役の上ではあるが、美しく、アタマが切れて、会話がシャレていて・・こういう女性が自分とどうにかなるなんて、考えも及ばないのだが。ジェニファー、どこかで見た顔・・とチェックしていたら、NBC連続TVドラマ「フレンズ」の泣き虫お嬢様役。米と日本を行ったり来たりしていたころ、時差ボケでボーっとしながらテイクアウトの中華総菜をホテルのテレビで良く見ていた。コメディなので早口だし、ダジャレいっぱいなので意味はほとんどわからなかったが、なんてカワイイ(としか、表現しようがない)女なんだと。
そのあと、いろんな映画を見たけど、このすべては・・のルシンダ役が一番良かった。ブラピが惚れたのもわかるが、あまり切れたり、シャレた会話の出来る女性は見てるだけで十分だという気がする、話を合わせるだけで疲れそうな気もす
る。
そのあと、いろんな映画を見たけど、このすべては・・のルシンダ役が一番良かった。ブラピが惚れたのもわかるが、あまり切れたり、シャレた会話の出来る女性は見てるだけで十分だという気がする、話を合わせるだけで疲れそうな気もす
る。
2017年6月6日火曜日
ロバの耳通信「人生フルーツ」
「人生フルーツ」(17年 邦画)
庭に雑木林と畑をつくり、木の家に暮らす老夫婦の毎日。少ない会話に満ち足りた暮らしが、樹木希林の語りとともに紹介される。筍や野菜など季節ごとの収穫があり、品数こそ多いものの質素な食卓も紹介される。都市計画が専門だった夫と作り酒屋のひとり娘だった妻が築いて手に入れた終の暮らしは、穏やか。夫が遠方の病院の再建デザインを生涯最後の奉仕としながらも、老妻を残して先立つ。夫のいない暮らしも、落ち葉を腐葉土にし、畑を耕すような穏やかなものに見える。タイトルバックのあとに、風にゆれる木々や草や水場に来て水を飲む小鳥などの風景のまま、不意に映画が終わった。放映後に非常灯だけの暗い通路をゾロゾロと出口に向かい、明るいホールに出たときの解放感はいい映画を見たという満足感もあったのだが、時間がたってくると少し違う気持ちになった。
彼らには、貧乏や介護、子供たちの非行や災害、諍いや疾病など穏やかな暮らしを煩わせることがどれくらいあったのだろうかと。恵まれていたかもしれない人たちの暮らしと比べみてもしょうがないのだが、閉じ込められてしまった暗いほうから、自分たちには決して行くことができないであろう明るいほうを見たような気持ちになった。年老いて僻みが多くなった。
庭に雑木林と畑をつくり、木の家に暮らす老夫婦の毎日。少ない会話に満ち足りた暮らしが、樹木希林の語りとともに紹介される。筍や野菜など季節ごとの収穫があり、品数こそ多いものの質素な食卓も紹介される。都市計画が専門だった夫と作り酒屋のひとり娘だった妻が築いて手に入れた終の暮らしは、穏やか。夫が遠方の病院の再建デザインを生涯最後の奉仕としながらも、老妻を残して先立つ。夫のいない暮らしも、落ち葉を腐葉土にし、畑を耕すような穏やかなものに見える。タイトルバックのあとに、風にゆれる木々や草や水場に来て水を飲む小鳥などの風景のまま、不意に映画が終わった。放映後に非常灯だけの暗い通路をゾロゾロと出口に向かい、明るいホールに出たときの解放感はいい映画を見たという満足感もあったのだが、時間がたってくると少し違う気持ちになった。
彼らには、貧乏や介護、子供たちの非行や災害、諍いや疾病など穏やかな暮らしを煩わせることがどれくらいあったのだろうかと。恵まれていたかもしれない人たちの暮らしと比べみてもしょうがないのだが、閉じ込められてしまった暗いほうから、自分たちには決して行くことができないであろう明るいほうを見たような気持ちになった。年老いて僻みが多くなった。
2017年6月1日木曜日
ロバの耳通信「ローガン」
「ローガン」(17年 米)
テレビでヒュー・ジャックマンのインタビュー番組をやっていたが、この作品の封切の前宣だったらしい。「X-メン」(00年 米)以降9作目のこのシリーズ、いい加減ネタ切れじゃないかと思っていたが、不死身のローガンも薬物中毒(変身の薬)と高齢化には勝てなかった。プロフェッサーXとして、ローガンと頑張ってきたチャールズ・エグゼビア もアルツハイマーの設定。ケリをつけるの、になんとも今風にしたものだ 。これで最後だというヒューのローガン/ウルバリンに期待したが、息もたえだえのローガンが暴れまわりミュータントたちを助けるというスジに新鮮味はなく、途中でダレてしまった。
アメリカ版少年ジャンプのマーベル・コミックを映画化した作品は、みな勧善懲悪のヒーローもので好きではないのだが、このシリーズだけは全部見た、たぶん。ヒューが好きだという単純な理由なのだが、ワタシにとってヒューの代表作は「レ・ミゼラブル」(13年 米)。正月の喧噪がイヤで自宅を逃げ出して、大晦日のレイトショーをカミさんと一緒に楽しんだ。ヒューのジャンバルジャンが良かった。都内なのにガラガラの映画館だったが、自宅から離れた解放感で、普段はそんなことは決してない、席にセンベイやらカワキモノを積みあげて大いに楽しんだ。過ぎた思い出はいい思い出。
テレビでヒュー・ジャックマンのインタビュー番組をやっていたが、この作品の封切の前宣だったらしい。「X-メン」(00年 米)以降9作目のこのシリーズ、いい加減ネタ切れじゃないかと思っていたが、不死身のローガンも薬物中毒(変身の薬)と高齢化には勝てなかった。プロフェッサーXとして、ローガンと頑張ってきたチャールズ・エグゼビア もアルツハイマーの設定。ケリをつけるの、になんとも今風にしたものだ 。これで最後だというヒューのローガン/ウルバリンに期待したが、息もたえだえのローガンが暴れまわりミュータントたちを助けるというスジに新鮮味はなく、途中でダレてしまった。
アメリカ版少年ジャンプのマーベル・コミックを映画化した作品は、みな勧善懲悪のヒーローもので好きではないのだが、このシリーズだけは全部見た、たぶん。ヒューが好きだという単純な理由なのだが、ワタシにとってヒューの代表作は「レ・ミゼラブル」(13年 米)。正月の喧噪がイヤで自宅を逃げ出して、大晦日のレイトショーをカミさんと一緒に楽しんだ。ヒューのジャンバルジャンが良かった。都内なのにガラガラの映画館だったが、自宅から離れた解放感で、普段はそんなことは決してない、席にセンベイやらカワキモノを積みあげて大いに楽しんだ。過ぎた思い出はいい思い出。
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