2020年9月20日日曜日

ロバの耳通信「クラウド アトラス」「スノーピアサー」

「クラウド アトラス」(12年 米、独ほか)

3人の著名監督が6つの物語をグランドホテル方式と呼ぶらしい舞台のような群集劇を展開。トム・ハンクスやヒューゴ・ウィーヴィングほか名だたる配役をマルチキャストで、なにより中国の周迅(ジョウ・シュン)(「小さな中国のお針子」(01年 中、仏))、韓国のペ・ドゥナ「頑張れ! グムスン」(04年 韓)<ポスター中央のコ)が出ているということで期待していたが、19世紀から未来までの支離滅裂なストーリー展開、しかも6つの時代を往き来するコマギレのシーンにアタマが付いていけず。

それでも最後までなんとか見れたのは、後半のスピード感と「R」指定シーンの連続、「文明崩壊」という結末を見たいという怖いもの見たさか。同名の原作(日本びいきのデイヴィッド・ミッチェル、そのせいかこの映画のセリフには箴言や哲学的な言い回しにあふれていた)を読んでから、また映画に戻りたいが、こういう凝った映画は、何度も見ると感動がぐっと薄れるのではと。いずれにせよ、原作ネタも俳優も良いのだから、総監督を決めて、時間通りに並べた6つのオムニバスにしてほしかった。欲にはキリがないか、良い映画だった。

こっちもSF。「スノーピアサー」(13年 韓米)

原作はフランスの漫画作家のグラフィック・ノベルだという。クリス・エバンス、ソン・ガンホ、ジョン・ハート他錚々たる名優が個性豊かに、凍ってしまった地球を永久機関によって動き続ける列車「スノーピアサー」のなかで、自己主張するさまは、セリフを発声するごとにスポットライトで照らされる舞台劇のよう。列車内の階級闘争やらエゴのぶつかり合いやら、それが、まさに次から次に起きるから目を離すことも、詰めた息を吐くこともできない。この列車は何処に行くのだろうか、この物語はどうなるだろうかという気持ちの盛り上がりは名監督ポン・ジュノ(「グエムルー漢江の怪物」(06年 韓))の力だろう。韓国映画、韓国監督おそるべし。

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