監督・製作・脚本がクリストファー・ノーランで、雑誌やネットでも面白いゾと前評判も良かった。予告編もいくつかチェックして、期待満々で見た、のに、である。
Tenetの意味は、上から読んでも下から読んでもの”回文”。早い話が”時間のルール”を解き明かすことで(という映画の説明も実のところ良く分かっていないのだが)、自らが膵臓ガンで余命がないと知ったロシアンマフィアのボスのヤケクソ自爆でもある第三次世界大戦を止めるというスジ。
時間を戻ったり、進めたりの思わせぶりのシーンが延々と進むから、ストーリー展開について行けない。アクション満載に音楽もイカしているから見所は多いものの、こちらの頭、つまり理解力を超えているから映画の中に入り込めない。2時間半の長編は、解説や予告編を見たくらいでは普通に映画を楽しむことさえ何ともならない腹立たしさ、と同時に、難しくて全くついて行けない授業を受けている感。いまさらながら、自らの頭の悪さが悔しい。
なによりワタシの気に入らなかったのが主役のジョン・デイビット・ワシントン。ガタイは良いのに、動きにキレがなく、ヒゲボウボウの顔に表情はない。ワキ役は芸達者を揃えているのに主役だけが浮いている。”あの”デンゼル・ワシントンの息子だと。親の七光りのシロウトが主役で出て、映画を台無しにしてしまっている。
もうすぐ日本公開で3D上映もあるらしい。映画館なら大画面とドルビー音響は楽しめるだろうし、前評判も良いからソコソコ観客も入るだろうが、何度も見たくなる映画じゃない。コロナが怖くても映画館に行くノーランファンを裏切ってはイケナイ。
「ナチス第三の男」(17年 仏・英・ベルギー合作)原題:The Man with the Iron Heart
第二次世界大戦中に冷徹さで”金髪の野獣”と恐れられたナチス親衛隊ナンバー2で、チェコで暗殺されたラインハルト・ハイドリヒの伝記映画。出演はオーストラリア俳優のジェイソン・クラーク。軍服をビシっと決めた碧眼のジェイソンが実にドイツ将校が似合っている。「ターミネーター:新起動/ジェニシス」(15年)ではジョン・コナーを演じ、イイモノ役だったが、ジェイソン・クラークは、こういう怖い役が似合う。大柄、強面の表情と刺すような眼は、いままで見たどの映画の中のナチス親衛隊の将校よりもソレらしく恐ろしかった。
映画後半は彼を暗殺したチェコのレジスタンスの男たちの物語に。映画の主題を途中で変えるのは違反だ。ラストまで見たために、素晴らしい伝記映画がすっかりピンボケになってしまった。残念。
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