2020年9月17日木曜日

ロバの耳通信「サリュート7」「エベレスト 3D」

「サリュート7」(18年 ロシア)原題:Салют-7

実話の映画化だと。85年に消息を絶ったロシアの宇宙ステーションーサリュート7がこのままでは地球に落下してしまうか、アメリカに乗っ取られて技術を盗まれてしまうのではないかとロシアの偉い人たちが心配。で、このサリュート7に別の宇宙船をドッキングして修理するーというストーリー。

次々起きるトラブルに立ち向かうふたりの宇宙飛行士のストーリーはトム・ハンクスとケビン・ベーコン主演の「アポロ13」(95年 米)にゼンゼン負けてない。こういう映画によくある作り物のチャチさはなく、宇宙船内部、船外の作り込みがすごい。無重力の宇宙船内に浮かぶ水の描き方がリアル、というかホンモノがどうなのかも知らないのだがよくできていて感心。宇宙船から見る地球の映像の美しさも圧巻。
宇宙船の乗組員やほかのスタッフと問題解決に向け右往左往している地上管制センターの責任者のところに突然現れた軍人のような偉い人が、失敗したらキミの責任だと脅すシーンにこれがロシアかと。あまり見る機会のないロシア映画だが、結構やるじゃないか。

「エベレスト 3D」(15年 米・英合作)原題: Everest

96年にエベレストで実際に起きたニュージーランドの登山ガイド会社主催のエベレスト登山ツアー隊に起きた大量遭難事故の顛末。法外な参加料金で客を集め、プロ・アマの登山家でエベレスト登頂を目指すも経験未熟な参加者の事情に振り回され結局遭難、12名が死亡。

ストーリーの深刻さもあるが、ジェイソン・クラーク(「ナチス第三の男」(17年))、ジョシュ・ブローリン(「ボーダーライン」シリーズ(15年~))、エミリー・ワトソン、 ジェイク・ジレンホールなど多くの著名な配役で重みのある映画になっている。悲劇の結末はわかっていても、特に後半はハラハラドキドキで、冒険映画としての出来もいい。

映画の初めの方のシーンで、ツアーにアウトドアジャーナリストであるジョン・クラカワーが参加することになっていて、嫌われ者ジャーナリストの扱い。ジョンのファンとしては引っかかったまま。ジョンはこのツアー遭難事故の体験をもとに「空へ ―エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか」(00年 文春文庫)を書き、ワタシの中では「荒野へ」(07年 集英社文庫)とともに最も好きなジョン・クラカワー代表作となっている。 

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