2018年3月19日月曜日

ロバの耳通信「ザ・サークル」

「ザ・サークル」(17年 米)

「ハリー・ポッター」シリーズ(01年 英)ハーマイオニーを演じたエマ・ワトソンが主役で、トム・ハンクスも出てると。エマ・ワトソンには食指がわかないが、トム・ハンクスに失敗はないからなと思っていたのに。コールセンターの担当から、友人のツテでサークルというGoogleとFacebookを足したような巨大IT企業に転職した主人公が、知らない間にというと聞こえは悪くないが、まあ、悪意のない熱心さでこの巨大企業の片棒を担ぐようになるという物語。エマ・ワトソンの能天気なプロジェクトリーダーぶりがピッタリ。

個人情報はおろか人生のすべてを晒してしまうことで無数の友人もどきの励ましを得ることができるようになってゆき、最初はプライバシーの浸食に恐れていた主人公が、ゆけゆけドンドンの会社人間に変わってゆく様子が怖い。ITやSNSがすべてという現代にありがちなネット社会への警鐘なのだが、不安や怖さを自分でうまく消化できないうちに映画が終わったから、痛くはないがいつまでも消えないオナカの不調のように不安がしこりになって残ってしまった。トム・ハンクス演じる巨大企業の創設者が、スティーブ・ジョブスやザッカーバーグを彷彿とさせる語りで理想を語る姿にだまされそうにになった。のの巨大企業のオープンな仕事場や親しく話しかけてくるスタッフたちや恵まれた職場環境に惹かれつつも、映画を見ながらずっと感じていた胡散臭さのようなものの正体は何だったのだろう。

世の中はたぶんこうなるんじゃないかと気味悪さを感じるので、また見ようという気にはなれない。ITやSNSの色付けがされているが、オバケが出そうで出ない、まごうことなき怪談映画。

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