「海は見えるか」(16年 真山仁 幻冬舎)
新聞記者出身の真山は企業買収を題材にした「ハゲタカ」(04年)でデビューして依頼、ノンフィクションのような硬質な作風が気に入りよく読んでいるが、東日本大震災を題材にした「海は見えるか」にいつもの鋭さがないのはなぜだろうと考えている。巻末に主要参考文献として東日本大震災の本が並んでいる。
「リバース」(15年 相場英雄 双葉社)
いつもの相場らしくない散漫さだ。これも、巻末の主要参考文献に同様の文献が並ぶ。たくさんの作家が、こうして本を書いているのだろうか。
「生きものたちの部屋」(98年 宮本輝 新潮文庫)
このエッセイは面白かった。作家としての私生活を知り、あれだけ優れた作品を苦しみながらも、次から次へと生んでいる宮本がなんだか近くなった気がする。より、好きになった気がする。巻末に著者が阪神大震災の遭った日記が紹介されている。自宅壊滅と物的被害で済んだらしいが、実体験だから生々しい。
この本の中で紹介された「名馬風の王」(87年 M・ヘンリー 講談社)の生まれつき口のきけない少年馬丁アグバと彼が世話をしたアラビア馬の交流。互いに物言えぬ者同士だからこそ、互いの心を理解したという話が出てくる。トツゼン、オスカーを4つも獲ったと話題になった映画「シェイプ・オブ・ウォーター」(18年 米)のおばさんと半魚人のラブストーリーを思い出した。そーなんだ、そこがこの映画の「言いたいとこ」だったのかと、やっとわかった気がする。
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