「共犯」(14年 台湾)partners in crime
登場人物のほとんどが高校生。自殺した女子高生をたまたま見つけた3人の高校生が犯人捜しをするという、ミステリー仕立てになっているのだが、最後は犯人が誰かとかいうようなことがどうでも良くなってくる。どこにでもありそうな高校の情景に、昔の自分を思い出して甘い感傷に浸れる。特に、女子高生はみな楚々としてかわいく、すこしナマイキだ。いまどき、こんな高校生など、世界中どこにもいないとはわかっていても、その幼さ、純粋さや孤独が、ノスタルジーとしてよみがえる。
息苦しく感じるほどの初夏の緑や、湖面に跳ね返って顔を照らす太陽の光が美しい。台湾って、こんなにきれいなのか。仕事で何度も訪れた台湾は、台北の騒々しい通りや埃だらけの工業団地のイメージしかなかったのに。台北の小さなIT会社に勤めていた内気な友人が、台北のあまりの人やオートバイの波、なにより止まることを知らない一層の都市化や人間関係に嫌気がさし、田舎へ帰って農業をやるといって会社をやめていったことを覚えている。私は彼に小さな別れの品を渡し、彼は私にガラスの仏像をくれた。困ったことがあったら祈ってみなよと。そうだ、彼より私のほうが、ずっと疲れ、まいっていたのだ。
いじめ、非行など多くの現代の若者の辛さを描きながらも、この映画の見どころはなんといっても画像の美しさだ。カメラワークの素晴らしさというのだろうか、どこかを切り取ってプリントすればそれだけで癒しの絵になりそうだ。台湾映画も捨てたものじゃない。
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