
題の「追憶」は恋愛映画「追憶」(73年 米)やバーブラ・ストライサンドの歌を思い出してしまう。なんだ甘すぎるようで、そぐわない。やはり「記憶」のほうがいいような気がする。抒情に走りすぎ「ゆきわり草」(3人が育った喫茶店の名前)にしなかったのはいいと思うが。
不幸な育ちの3人が成長して犯罪に絡むというストーリーはいかにも韓国映画にありそうで、韓国映画なら主人公に思い切りスポットを当てニヒルな辣腕刑事、幼友達は極悪犯罪人という設定か。陰湿で暗めのクライム作品にしてくれそうな気がする。もちろん、邦画のハッピーエンドはナシだ。
「追憶」の3人の子役たちの演技が良かったよかったので、この映画を見る少し前に読んでいた本の3人姉妹の物語のつまらなかったことを思い出してしまった。

人は皆違うけれど、人は皆似ている。ソレを書いてほしいと思う。
「細雪」(55年 谷崎潤一郎 新潮文庫)は4人姉妹の物語だが、こちらも性格の異なる4人がそれぞれに魅力的に描かれ、多感な学生時代によくあんな長い本を読んだものだと。最初に読んだのは「谷崎潤一郎全集」(58年 中央公論社)の函入りだった。学校のある地方都市の大きな書店は、入って右奥に全集モノの棚がありほぼ毎日そこに通い立ち読みしていた記憶があり、そのあと文庫本を持っていた記憶もあるから、谷崎がお気に入りの作家であったに違いない。カミさんに言わせると谷崎の作品は「アヤシイ」と。うん、「春琴抄」「刺青」「卍」などいわゆる耽溺モノで面白かった。だからこそ、毎日の立ち読みを続けられたのだ。
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