アメリカとメキシコの国境での麻薬カルテルと司法側の対決を題材にした犯罪映画。約2時間、緊張して見ていられる映画なんてあんまりないのだが、コレはそうだ。主人公のFBI捜査官役の英女優エミリー・ブラントが一生懸命役をこなしていたがイマイチ存在感が薄く感じられたのは、「クワイエット・プレイス」(18年 米)で母親役の時と同じ。何故だかわからないが、エミリー・ブラントの映画を見るたびにそう思う。なによりこの映画で特筆すべきところは、司法側にいるナゾのコロンビア人役のベニチオ・デル・トロ。元検事という設定なのだが、なぜ彼が司法側でしかも周りが認める一匹狼でいられるのかの理由が語られない。原題の Sicario 殺し屋と関係があるのか。今年公開の続編の伏線かも。とにかく、ベニチオ・デル・トロの存在感はスゴイ。もう一つ、この映画のスゴイところが音楽。今年亡くなったアイスランドのヨハン・ヨハンソンによる打楽器中心の効果音はヒュードロドロの怪談映画のそれに似て、怖さを倍加する。
アメリカとメキシコの国境線を大写しするシーンがあるが、万里の長城のように途切れることのないフェンスが続いていた。トランプが作る前にあったのだろうか。
ベニチオ・デル・トロの映画を続けて。
「エスコバル 楽園の掟」(15年 フランス・スペインほか)
ベニチオ・デル・トロが実在のコロンビアの麻薬王パブロ・エスコバル役のベニチオ・デル・トロとエスコバルの姪を恋人にしたばかりにファミリーに迎えられることになったカナダ人青年ニックの物語。役柄もそうだが圧倒的な存在感のデル・トロとニック役で「ハンガー・ゲーム」シリーズ(12年~ 米)のジョシュ・ハッチャーソンの競演は初めから勝負がついていた。というか、気弱な印象のジョシュ・ハッチャーソンは、悪のファミリーへの参加を良しとしない純朴な若者役はピッタリといえばピッタリだし、同じく気弱なワタシには悪の中にいて始終感じているニックの不安を存分に感じることができた。映画としてはよくできているのかもしれない。原題はParadise Lost 楽園なんてなかったということか。
ベニチオ・ベルトロを見ると、何でもマフィアになってしまう。ペネロペクルスのような女が出てくる。皆、物憂げで。シャバの堅気はたいていおっちょこちょいだ。
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