2021年6月19日土曜日

ロバの耳通信「隻眼の少女」「宿屋めぐり」「けいどろ」

図書館の「新しく入りました」のところにあったピカピカ(新刊ではないが更新か新入荷)の文庫本、運が悪いというか、3冊とも好みじゃなかった・・と、それだけのハナシだが。ピカピカの本だったから、なんだか、口惜しい。

「隻眼の少女」(13年 摩耶雄嵩 文春文庫)

図書館から借りだした時のチェック。著者紹介にこの作品が日本推理作家協会賞と本格ミステリー大賞のダブル受賞だと。面白いハズと自分の脳に刷り込んでの2度目の挑戦。

新刊の時に、当時通勤途中にあった雰囲気のいい本屋さんーいつも、結構混んでいて、新刊の平積みゾーンが通路側にあり新刊をベストセラー順にディスプレイした棚の後ろがレジ。だから店員さんと顔を合わせることがなく、安心して「存分に」立ち読みできる本屋さんーでこの本を見つけ読み始めたのだが、最初の数ページで挫折していたのだ。これが1度目。
で、図書館で見つけての再挑戦となったのだが、ガマンにガマンをして100ページちょい前でまた、挫折。ダブル受賞だとぉ?なんだ、こりゃ。ゼンゼン面白くない。信頼している読書メーターでも星4つ。オカシイ。解説によれば「獄門島」(横溝正史)から血生臭さを抜いた正統派の謎解きで、”精密な論理を紡いだ””美少女探偵”が活躍すると。
うーん、そうなのか。正統派の謎解きも、精密な論理展開も、美少女探偵も全くワタシの好みのところではないのだ。もしかしたら、あと数ページ後に、ばーんと面白くなるとしても、だ。本屋さんにも、図書館にも、ブックオフにも、電子ブックストアにも、読みたい本、まだ読んでいないけれど、きっと面白い本がワタシを待っていると確信するから、気に入らない本のあと、もしかしたらに期待し数ページをガマンして読むことはしない。だから、3度目の挑戦はない。さようなら「隻眼の少女」

「宿屋めぐり」(12年 町田 康 講談社文庫)

町田 康は芥川賞など多くの賞をもらっている有名な作家らしい。この「宿屋めぐり」も野間文芸賞の受賞作だと。08年に単行本、12年に講談社文庫になっているからソコソコ面白い本かと期待し図書館から借りだした。異世界に入り込んだ主人公がいろいろな不思議な体験をしながら宿屋をめぐるという設定。とはいえ、ストーリーに一貫性はなく、あっちに行ったり、こっちに行ったり。登場人物も脈絡なく、セリフも擬音だらけで正統派を自称しているワタシには全く受け入れ難い。うーん、ワタシの固くなった受け入れ能力にも若干の疚しさは感じるものの、700ページ余のうちの100ページを読んだところで、挫折。こういうときは、あとがきという解説を読んで、再挑戦するのもアリと、幻想小説で著名な笙野頼子による解説を読むことにしたら、この解説もブッ飛んでハチャメチャで、余計に混迷の道へ。で、それ以上読むことを放棄。

「けいどろ」(14年 荒木源 小学館文庫)

泥棒稼業の男が刑務所を出た日にお迎えしてくれたのが泥棒を捕まえた刑事で、刑事から泥棒への頼み事が「殺してくれ」。とんでもないストーリーを全編関西弁で語られる。初めての作家で、出だしは読みやすいものの、何だこりゃの奇妙な展開にとまどいつつも結局最後まで読んでしまった。同作家の「ちょんまげぷりん」(小学館文庫)が映画化もされ大ヒットしたというが、図書館の文庫本の棚はこの「けいどろ」だけ。表紙からして、ライトノベルかコミック風で、ちょっとね、とはおもったが、裏表紙の解説に惹かれて。うん、面白かったけれどなにもココロに残るものがなかったから、220ページもやや退屈。もういいか。 

さようなら、町田 康、笙野頼子、荒木源。

1 件のコメント:

  1. 今回は残念な3冊でしたね。10文字ホラー、5分で読めるなんちゃらの時代に700ページの文庫を手にしただけで寛大な読者です。

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