2021年6月14日月曜日

ロバの耳伝説「タソガレ」「あるキング」「小説 イキガミ」

 「タソガレ」(14年 沢村凛 講談社文庫)

読み始めてすぐに、なんだこの面白くなさ、違和感は、と感じ著者をチェックしたらうっすら記憶があり、またやっちまったと。ああアノ沢村凛かあ(ゴメンナサイ)。「カタブツ」(08年 沢村凛 講談社文庫)のツクリモノのつまらなさに懲りていたはずじゃないか。「タソガレ」のウリが「相貌失認」、カンタンに言えば人の顔を覚えられないという病気。100人に2人くらいはいるらしいから、そう珍しい病気でもない。本当は深刻な「相貌失認」のために起きるドタバタを時にコミカルに描いている。「相貌失認」の多くの症例を調べ、その患者の心情を深堀りしていたら舞台をパリなんかにしなくともいい作品になったのにと、悔しい。

「あるキング」(12年 伊坂幸太郎 徳間文庫)

井坂幸太郎の小説は前に「グラスホッパー」とか何冊を手に取ってみたが、とっかかりに躓いたり、ストーリーについてゆけなくて途中で挫折したりで「ちゃんと」読んだことはなかったが、この「あるキング」の裏表紙にシェークスピアの「マクベス」の3人の魔女やら台詞の引用がありちょっと変わっていていいかと。野球にのめり込んだ男の伝記みたいな小説なのだが、奇を衒っている割には丁寧に書かれており(あたりまえか)、面白く読んだ。近年、漫画の原作が若い俳優を登用して映画化されヒットしたりして、なんだか面白いことになってるから、これも漫画や映画にしたらいいかな。落ち着いたから、井坂の別の作品にチャレンジしてみよう。

「小説 イキガミ」(08年 百瀬しのぶ 原作 間瀬元朗 小学館文庫)

「イキガミ」については映画が出た時(08年)にストーリーや配役が魅力で見たいと思っているうちに封切り期間がすぎてしまい、そのままになっていた。映画や漫画をもとに本を書くのをノベライズというらしい。百瀬しのぶというヒトはこのノベライズで食ってるらしい。うーん、職業としてはアリなんだろうが、著者なのか。「小説 イキガミ」の奥付けには著者として書かれている。面白いのは原作が面白いからで、発想も登場人物の設定もストーリーの展開も原作のチカラだと思う。「小説 イキガミ」は途中でダラけてしまったので挫折。漫画か映画にしよう。

1 件のコメント:

  1. 本の映画化は当たり外れがあるとして、映画のノベライズとはこれいかに。ましてやこれがご職業とは。

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