2018年9月11日火曜日

ロバの耳通信「ひとは情熱がなければ生きていけない」 「てのひらの迷路」 「ぬばたま」

「ひとは情熱がなければ生きていけない」(07年 浅田次郎 講談社文庫)
「てのひらの迷路」(07年 石田衣良 講談社文庫)
「ぬばたま」(10年 あさのあつこ 新潮文庫)

台風でどこにも行けず。このところ「流転の海」(90年 宮本輝 新潮文庫)の8部作のうちの4冊を集中して読んでいたのでアタマが「流転の海」漬け状態。面白い本だとつい嵌まり込んでしまう。で、気分転換に短編集を3冊。

「ひとは情熱・・」なんて長い名前なんだ。おまけに<勇気凛凛ルリの色>なんて副題もついている。エッセイやら講演会の記録やら折り詰め弁当風だが、浅田次郎らしいヒカリモノもあって楽しめた。”自分の書いたセリフで泣くうちは、小説家もまだまだ”(「鉄道員(ぽっぽや)」余話)なんてところ、良かった。

「てのひらの迷路」、石田は「4TEEN(フォーティーン)」以来だったけれど、やはりプロの小説家というのはすごいと思う。20余の短編がすべて珠玉の掌編。膨らませればどれもいい作品になりそうなくらい。ワタシも一時モノカキになる夢を持っていた時期もあったけれど、こういう優れた短編を読まされると、「まいった」。増長して鼻高になっていたシロートのワタシはひっぱたかれた気分。はい、ワタシが悪うございました。

「ぬばたま」これは怖かった。「残穢(ざんえ)」(15年 小野不由美 新潮文庫)以来か、本読んでゾッとしたのは。出だしから、ヘビだらけ。ただでさえ怖い色白のウツクシイ女と天井から落ちてくるヘビなんて。夢に見てしまった。あさのあつこって、こんな作家だったのか。引き出しの多さに脱帽。

1 件のコメント:

  1. 最近は浅田次郎推しですね。涼しくなり、秋の夜長ですね。

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