2021年3月13日土曜日

ロバの耳通信「羊の木」「二十六夜待ち」

「羊の木」(18年 邦画)

原作は漫画雑誌(「イブニング」(11年~ 山上たつひこ))。元受刑者を地方に移住させ更生と地方の人口増加に貢献するという国家プロジェクトで元殺人犯6人を受け入れた魚深市(富山県想定)の職員と6人の物語。山上たつひこらしいアリエナイ物語なのだが映画のなかでは普通にというか自然の流れで展開される。

この映画の面白さはこれ以上はないだろうという配役の面白さ。主役の受け入れ先魚深市役所の職員が錦戸亮(関ジャニ∞)がなんともマジメな好青年を演じていたが、たぶん地なのだろう。さらに良かったのが床屋に勤めることになった水澤紳吾(アパッチ)、介護施設に勤める優香(最近とみにキレイになったと思う)、配送サービス業の松田龍平ほか、いずれも元殺人犯。かれらの個性や役への役者のハマり方が半端ではなく、どうなることかとハラハラしながら楽しみ、効果音楽(山田龍夫)がハラハラをさらに掻き立てた。
映画はやっぱり監督(吉田大八「桐島、部活やめるってよ」(13年 日本アカデミー賞)、という言い方もあるらしいが、そこに集約させてしまうだけではこの映画の面白さは語り切れんゾ。

「二十六夜待ち」(17年 邦画)

東北大震災を題材にした映画で評判は良かったようだが、2時間強と邦画としては長いし、なにより暗そうなので見ていなかった。「海辺の生と死」(17年)で好きになった監督(越川道夫)の作品ということで、雨の夜に自宅映画会で。

井浦新、黒川芽以の抑えた演技や、彼らに多くを語らせない脚本(越川道夫)も良かったが、ベッドシーンがなんだか無駄に長く、生々しくくて辟易してしまった。ソコをカットしてしまえば、下世話な話題にはならないにせよ、18禁も外せるし、観客層を増やせたのではないかと。なんとTSUTAYAのDVDではエロ作品に分類されているじゃないか。

大震災の影響で記憶喪失となった板前と、多くのものを失っていた薄幸の女の出会いの物語。題名は、夜明けの空に昇る月でふたりにとっての新しい世界が始まるといった意味だろうと勝手にこじつけてみたが、記憶喪失の板前に前の妻が現れるといった、出口のない物語にしてほしかったかな。
大震災なんて、どうせ人々の力を超えた理不尽さなのだから。

0 件のコメント:

コメントを投稿