2021年11月13日土曜日

ロバの耳通信「彼女がその名を知らない鳥たち」

「彼女がその名を知らない鳥たち」(09年 沼田まほかる 幻冬舎文庫)

 解説に書評家の藤田香織が書いている、単行本のオビには”それでも恋と呼びたかった”と副題がついていたと。読み終わって、藤田の解説にも感動した。藤田によれば”これを恋と呼ぶのなら、私はまだ恋を知らない”と。良い作品には良い書評家が解説を書くなぁ。まいった。

主人公の名前は十和子。別れた男が黒崎、同棲しているのが(佐野)陣治、新しい恋人が水島。この3人の名前だけ憶えておけばいい。翻訳もののミステリーと違い、入れ替わり立ち代わり憶えられないカタカナの名前が出てきて、コイツ誰だったかなとページを戻って確かめる必要はない。十和子が愛した黒崎、陣治が尽くすのは十和子。女性は自分を十和子に、男性は自分を陣治や水島に置き換えて、アバターゲームを楽しめる。
これだけ面白いと、ほかの作品もぜひ、読んでみたい。沼田まほかる、初めて読んでひっぱたかれた。

映画化(17年 邦画)もされていると。十和子が蒼井優、陣治が阿部サダヲだと。うーん、この配役、どうだろう。

1 件のコメント:

  1. “これを恋と呼ぶのなら、私はまだ恋を知らない”。良いですね。

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