2021年11月15日月曜日

ロバの耳通信 「フィンチ」「テロ、ライブ」

 「フィンチ」(21年 米)原題:Finch

突然の太陽フレアのためにオゾン層が破壊され、強い紫外線、高温でほとんどの動植物が死に絶えた近未来の地球が舞台。食料不足や疾病で人々のほとんどが死に絶えた世界、ひとりで地下壕暮らしをするフィンチ(トム・ハンクス)の物語。字幕版で見たが、トム・ハンクスの訥々とした話し方は「フォレスト・ガンプ」のソレと同じで、啓示的なセリフがジワーッと滲み込むいい映画。

”社会的”不器用というのだろうか、つきあいがうまくなかった技術者フィンチが、病で自分の余命が短いことを知り、自分の死後残されるであろう愛犬グッドイヤーの世話をしてくれるアンドロイドを作り、一人、一匹、一体でフィンチが長くあこがれていたサンフランシスコへの長い旅に出るという物語。

登場人物はフィンチ、愛犬、自走ロボット、アンドロイドだけ。しかも、前半はほぼフィンチの独り言だからすこし退屈。後半はアンドロイドとの少ない会話だから、これも静かにストーリーが進む。このところ、切った貼ったのアクションモノやら、息を詰める怖さのミステリー作品が多かったから、刺激が足りないかなとも思っていたのだが、静かに押されたこの映画のほうが、ずっと効いた。


「テロ、ライブ」(13年 韓)原題:더 테러 라이브

動画サイトの釣りを見て、ああ主演があんまり好きじゃないハ・ジョンウだからと舐めてかかって見始めたらまいった。緊張感に釘付けになってしまった。うん、このところこんなにハマった映画はなかったんじゃないか。

スジは賄賂の疑いでラジオ局に左遷された、元テレビ局の花形キャスターのユン(ハ・ジョンウ)に、公開ラジオ相談で”言うことをきかないと橋を爆破する”と脅迫電話が入るところから映画が始まる。いたずら電話だと思ったユンは、やれるもんならやってみろと暴言を吐くが直後麻浦大橋が爆破される。その後、爆破犯からは自分は橋の建設に携わった建築作業員で、補修作業中に海に落ちて死んだ仲間のために大統領の謝罪を求めるという要求が出される。謝罪の要求をのまなけれ更に爆破を続けると脅迫。

テレビ局長からはテレビ独占生中継して犯人とのやり取りをうまくこなし視聴率を上げればテレビキャスターに戻してやるぞと、テロ対策の責任者からはテロと取引はしないと強行論をぶたれるは、大統領の代わりに出てきた汚職容疑のある警察庁長官はスタジオでイヤフォン爆弾で殺されるは、とにかく、汚職、権力、弱者排除、離婚など韓国らしい社会問題がこれでもかとあからさまに。

韓国偉いよ、こんな映画で社会を痛烈批判するなんて。うん、結果、相変わらず汚職、権力ゴリ押し、社会格差など何も改善がすすんでいないようだけれども、それらがうまく隠されている日本も同じか。

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